一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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北海道の野菜がおいしいのはなぜ?

質問者:   会社員   地球
登録番号2012   登録日:2009-07-07
北海道の野菜、じゃがいも、トマトなどはおいしいとされています。特に美瑛では夏の昼夜の温度差が激しいことがそのおいしさの秘密だと聞いています。
果たしてそれは本当なのでしょうか?
いろいろ調べて、光合成が関係していると思うのですが、確かなことを教えてください。よろしくお願いします。
地球 さま

頂いたご質問、おいしさについて一般的にはお答えできませんが、高緯度地方の光合成生産の特徴をご参考までに、お答えいたします。

北半球で緯度の高い地域は、緯度の低い地域に比べ、夏至には1日当たりの日照時間が最も長くなり(白夜)、逆に、冬至の時は、最も日照時間が短くなります。従って、一年中、季節によって昼夜の差が少ない緯度の低い赤道付近に比べ、高緯度地域では1日当たりの日照時間が季節によって大きく変ります。

植物光合成は太陽光エネルギーを利用して大気中の二酸化炭素を光合成産物である糖に、さらにこれを基にして植物の多くの成分を合成しています。従って、緯度の高い地方で、夏には日照時間が長くなり、植物光合成の生産量が、緯度の低い地方に比べ多くなります。しかし、緯度の非常に高い例えば北欧のような地方では日照時間が冬には正午を中心に数時間しかないところもあり、温度が低いこともあって冬には植物の光合成生産は余り期待できません。

温度、水の供給(降水量)も光合成生産に影響しますが、これらは気象条件で大きく異なるため緯度だけでは決められません。夏季、日照時に20~30C程度の地域であれば、日照時間が長いので光合成量の増加が期待できます。また、昼夜の温度差は気象条件による影響されるため、これも地域差が大きく一概に議論できませんが、夜温が低い方が、呼吸による光合成産物の損失が少なくなります。従って、高緯度地方で日照時に適当な温度に恵まれ、夜温が少し低めの地域であれば、光合成量が多く、夜の呼吸による光合成産物のロスが少ないため、光合成産物が種実、果実、塊茎など光合成産物の貯蔵器官にたくさん、蓄えることが期待できます。
JSPPサイエンスアドバイザー
浅田 浩二
回答日:2009-07-21
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