一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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きゅうりはなぜ夜も成長するのか?

質問者:   小学生   たーり
登録番号2048   登録日:2009-08-10
きゅうり(実)が1日にどれだけ成長するか決まった時間にきゅうりの長さと太さをはかっています。

昼間だけ成長するのかと思っていたら夜も昼と同じぐらい成長しています。夜は光合成をしないのに、どうして成長するのですか?

また晴れの日と雨の日の成長の違いも調べましたが僕は晴れの方がよく成長すると思っていたのにあまり差がありませんでした。

雨といっても完全に光を遮断しているわけではないのであまり光合成には影響しないのですか?
たーり 君

このコーナーに質問をありがとうございました。
キュウリの果実の生長をはかっておられるのですね。
“晴れの方がよく生長する”と期待しておられるようですが、それは、“果実が生長するためには光合成で作られる炭水化物などの物質が必要で、晴れている時には光合成が盛んに行われ、これらの物質が十分に供給されるから”との考えによるのだと思います。

ところが、あなた自身の観測によって得られた結果は、期待に反して、昼夜に関係無く果実は生長し続けると言うことですね。もし、何回繰り返しても同じ結果が得られるのであれば、“昼夜に関係無く絶えず生長し続ける”と言うのが真実ということになります。ただ、果実の生長には時間帯があるかも知れませんので、例えば、植物を傷つけないように注意しながら(例えば物差しと一緒に写真撮影をするなどにより)、一日中時間を追って観測してみるのは如何でしょうか。

ところで、深く考えると、やっておられる実験(観測)には幾つかの問題があります。まず、気になるのは昼夜で生ずる温度の差とか、水分の与え方の問題です。一般に、植物の生長には幾つかの要因(条件)が関係します。ここで問題にされている光の有りなし(昼と夜)もその一つですが、それ以外に、水分の供給や温度が大きな条件となります。場合によっては、キュウリの果実の生長は水分含量が増えることだけによっても起こりことがあるかも知れません(もちろん、“一時的には”と言う意味です)。これ以外に、夜昼の時間の長短も影響を与えることがあるでしょう。“もやし”のようなものを思い出していただくと良いのですが、植物の生長は光がない方が盛んであることもあります。
ただし、大きく見れば、光合成によって作られる物質が植物体を構成するとの考え方に誤りがある訳ではありません。

そんな訳で、果実の生長は幾つかの条件によって左右されますので、光以外の条件を出来れば一定にして実験することが望ましいと思います。しかし、その前に、今やっておられるように、自然の状態でどんな生長の過程をたどるかを詳しく記録してみることは大切だと思います。

お役に立てましたでしょうか。雨の日の光合成のことなど、お答えしていないこともありますが、今日はここまでとさせていただきます。
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2009-08-11
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