一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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根が地上に伸びてきた

質問者:   小学生   haru
登録番号2052   登録日:2009-08-14
こんにちは。インゲンマメの発芽の実験をしています。
植える深さを変える実験で、深く植えてなかな芽を出さない種の根が地上に向けて伸びてきました。根は下に向かって伸びるのではないですか。苦しくて呼吸をするため上に向かって伸びたのですか。それとも、上と下を間違えたのですか。よろしくお願いします。
haru くん

質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。
上に向かって伸びる根なんてあるのかしら? 不思議ですね。確かに根は通常下に向いてのびます。それは根は重力を感知して、その方向へのびる性質があるからです。例えば、インゲンマメの種子を横にして発芽させると、出て来た根は下向きに曲がってのびます。その様な現象を「重力屈性(ジュウリョククッセイ)」と呼んでいます。重力屈性については、小学生のharu 君には難しいかもしれませんが、本質問コーナーの登録番号1514の質問への回答をみてください。あるいは、ご両親かだれかに頼んで説明してしてもらって下さい。
では、なぜ、地中深くまいたた種子から地上に向けて根がのびて来たのでしょうね。地中深くまいた種子は一つだけですか? いくつかまいて、そのうちの一つだけがそうなったのでしょうか? もし、全部の種子が地上に向かって根をのばしたのなら、たいへんおもしろいことだとおもいます。なぜなら、『インゲンマメの種子は地中深くまくと、「重力屈性」を示さなくなる』ということになって、くわしく調べてみる必要があります。しかし、種子を一つまいただけか、いくつかまいたうちの一つだけということになると、それはたまたまそうなったに過ぎないのかもしれません。じっさいにどのくらいの深さにまいたのか? 鉢植えにしたのか、それとも地面にじか植えにしたのか? 土はどんな状態のものか? なども関係してくるかもしれません。また、種子をどのような位置で土中にまいたかも大切です。インゲンマメの種子はじんぞうのような形をしているので、英語では,訳すと”ジンゾウマメ”といいますが、横のやや内側にわん曲した部分に「へそ」があります。ここが胚(ハイ)とよばれる赤ちゃん植物のあるところです。胚は、将来茎になって地上部に成長する幼芽(ヨウガ)と、将来根となって土中にのびていく幼根(ヨウコン)からできいます。種子が発芽するときはまず幼根がのびてくるのです。このとき、胚の位置が上下逆になるように種子をたてに置くと、幼芽と幼根はそれぞれ逆の方向へ曲がって成長しなければなりませんね。haru君の実験では、根が上に出て来た種子では芽はでてこなかったのでしょうか。
質問だけからはなんとも言えませんが、私の想像するには、種子が上下逆にたてに置かれて、発芽してでてきた幼根はたまたま重力と真反対の方向へのびて、幼根の左右が均等に重力を感じたため、曲がることなくそのまま上に伸びていったのかもしれません。あるいは、土中に固いものがあって、根が曲がることができず、そのまま上に伸びたのかもしれません。
以上のことを考えて、もう一度実験をし直してみてごらんなさい。
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2009-08-24
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