一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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黒豆の硬さとかびやすさ

質問者:   小学生   わいるどいちご
登録番号2066   登録日:2009-09-04
自由研究で黒豆のもやしをつくりました。もやしになったのですが豆の部分が硬くて食べられませんでした。市販の大豆もやしは豆も食べられるのに黒豆はなぜ食べられないくらい硬いままなのですか。また、黒豆を買ったときにそのお米屋さんが黒豆はかびが生えやすいと教えてくれました。かびが生えやすいということは水分が多くて、むしろ柔らかくなるのではないかと思うのですがいったいどういうことなのですか。
わいるどいちご さん


みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。

ご質問は、食品の物性、成分、調理などに関するもので、私どもが扱う分野とは少しちがいますので正確なお答えをすることができませんが、ふだん種子や植物を扱っている経験から考えられることでお答えすることでお許しください。ご免なさい。

「黒豆のもやしを食べたけれども固くて食べられなかった」ようですが、どのような調理をしたのでしょうか。黒豆はダイズの品種のうち種皮にアントシアニンがたまって黒く見える品種をまとめて指すことばです。「丹波黒」「新丹波黒」「兵系黒3号」などといくつかの品種があります。色は違っても一般のダイズと大きな違いはありませんが、植物性食品の食味、食感などは品種、生産地、栽培法などによって違うのがふつうです。それは、成分や細胞壁組成のわずかな違いが原因と考えられています。これらの違いはまた調理したときの食感、固さにも関係すると思われます。違った品種のものをまったく同じように調理しても、一方は食べられますが、他方はまだ火の通りが十分でないこともありますし、一方の品種の細胞壁にカルシウムなどがたくさん結合していると、ふつうに煮ただけではなかなか柔らかい食感とはなりません。ですから、使った黒豆もやしの調理時間が少し足りなかったとか、細胞壁の組成がわずかに違っていてすぐには柔らかくならなかったのではないかなどが考えられます。しかし、黒豆と黄色いダイズの細胞壁組成の違いを示す分析結果を見つけることができませんでした。


次にカビが生えやすい点ですが、これは種子の表面にどのくらいたくさんのカビや細菌類が付着しているかどうかです。生産地が異なれば、表面に付着する微生物の種類や量も大きく違います。ふつうのダイズと黒豆とは産地が違いますから表面微生物の量、種類も違うと思います。黒豆品種だからカビが生えやすいということはないはずです。豆類などの種子を発芽させるとき、種子を覆うほど水を入れておくとカビが成長しやすいことはあります。食用の種子は殺菌剤を処理していませんから、発芽させるときは簡単なことですから種子表面を消毒することが必要です。洗濯などに使う塩素系漂白剤はとても有効です。10倍くらいに薄めた塩素系漂白剤液に種子をいれて10分くらい(種子によって違いますので一番よい処理時間は自分で決めることになりますが)おきます。ときどき箸などでかき回してください。その後、種子を水道水で十分に洗います。数回水を取り替えながら洗えば十分です。そのような種子を蒔けば、カビの影響はほとんど受けないはずです。試してみてください。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2009-09-09