一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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緑青の植物への影響

質問者:   一般   kaz
登録番号2071   登録日:2009-09-12
私のお寺の庭のイチイノ古木が枯れはじめました。植木屋さんに聞いたところ屋根から落ちる緑青を含んだ雨水が原因だといわれました。いろいろ調べましたが、緑青は人体に害はないということは、わかりましたが、植物への影響はわかりません。寺院なので、雨樋をつける訳にもいかず、雨水が地面にしみこむのを防いで、水路に流したほうがよいのか。教えてください。
kaz様

質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。ご質問にお答えします。
緑青の主成分は水酸化炭酸銅という事になっていますが、水酸化硫酸銅などの場合もあります。ご存知のように、緑青は人体には有毒ではないとされています。では、植物にはどうかといいますと、一概にはなんともいえません。微量な銅イオンは植物の成長にとって必要な元素です。一般に金属イオンは濃度が高いと阻害的に働きます。銅イオンも高い濃度では根の成長などを阻害します。また、微生物の成長にも阻害的です。お寺のイチイの古木が枯れ始めたのは、確かに長年雨水に含まれる緑青がイチイの生育している土壌に滲みこんで、銅イオンが蓄積して有害な影響をもたらしているのかもしれません。盆栽が枯れてしまったのは同様の理由かららしいというニュースもありました。しかし、ご質問の内容だけからは、一義的にそうだということもできません。果たして、イチイが植えてある土壌中に高濃度の銅イオンが検出されるのかどうか調べてみる必要があるでしょう。また、そのような雨水がかかる他の樹木は何らかの影響がみられているのでしょうか。もしかすると、そのイチイだけの病気かもしれません。土壌には無数のバクテリアが生息しており、植物の根系と密接に関わっている事が多いのです。もしかすると、緑青がこれらのバクテリアの繁殖を抑えてしまい、イチイの根の生育や機能が衰えて来たのかもしれません。いろいろ調べないと因果関係については何ともいえません。とりあえず、対処療法としてイチイの廻りの土壌を入れ替え、雨水が滲み込まないように工夫をしてみて、それで、元気を取り戻せば緑青が原因だった可能性は高い事になりますね。あるいは植え替えて元気になれば、元の場所にはなにか良くない原因があったということで、その一つとして緑青を考える事ができますね。
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2009-09-30
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