一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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栗の皮の色素

質問者:   教員   山地
登録番号2085   登録日:2009-09-29
小学生から質問を受けました。
お忙しいとは思いますが,子どもの興味を大事にしたいと思い,
質問いたします。
よろしくお願いいたします。
栗の皮をむくと,黒くなるのは一緒に焼くすすがついているのでしょうか?
それとも,なにか黒い成分が含まれているのでしょうか?
山地 様:

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
秋となり栗の季節となりました。すでにつやつやした褐色の栗が店頭に並んでいます。

栗(クリの果実)はいわゆるドングリの仲間(堅果)で食べられるところは子葉です。子葉は渋皮とよばれる種皮に囲まれています。この渋皮には「渋味」のもとであるタンニンというポリフェノールがたくさん含まれています。タンニン酸が主とされていますがその他のタンニン成分(カテキン類など)も含まれていて、多くは水溶性です。これらのタンニンは細胞が壊れると酸化酵素の働きで酸化され褐色から黒褐色の酸化重合物になりますが、酵素の働きを受けなくても自動酸化する性質をもっています。そのため熱をかけて細胞を殺しても空気に触れると自動酸化して黒褐色の重合物を作ります。栗を蒸したり、焼いたりすると、渋皮に含まれていたタンニンがすでに沁みだしていますから渋皮を取り除くときに指先などにつき黒くなるものです。焼いたときのすすではない筈です。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2009-10-08