一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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CO2削減植物

質問者:   会社員   サボテン
登録番号2087   登録日:2009-10-05
私はサボテンに携わる仕事をしております。

最近、「CO2削減植物、COP(Carbon offset plants)」という言葉を耳にしました。
調べてみると二酸化炭素の吸収量だったり、夜の間も二酸化炭素を吸収するなどの条件によって5段階にレベル分けされていました。
その中でサボテンのレベルはとても高く、サボテンにこんな効果があったのだと感心し、興味を持ちました。

ここの過去の質問などから、サボテンがCAM型光合成を行っており、夜の間に二酸化炭素を吸い、リンゴ酸として体内に貯めておき、それを使って昼の間に気孔を開かずに光合成を行うことは分かりました。

そこで一つ疑問に感じたのですが、通常の植物は光合成により気孔から酸素を排出すると思いますが、サボテンは気孔から酸素を排出することはないのでしょうか?
それとも夜の間に二酸化炭素を吸うのと同時に酸素を排出しているのでしょうか?
またサボテンは呼吸はいつしているのでしょうか?
そもそもサボテンはCO2削減植物としてそれほどレベルが高い植物なのでしょうか?


質問が多くなりましたが回答いただけると嬉しいです。
サボテン 様

本コーナーに関心をお持ち下さりありがとうございます。
ご質問の主な内容は本コーナーの登録番号1341で扱われておりますますので、そちらの方をご覧ください。なお、CAM植物が昼間に気孔を閉じるのは第一義的には水分の損失を抑えることにあるので、対応は一般的にはフレキシブルで、例えば極端に乾燥した条件では夜間でも気孔を閉じるのではないかと思います。一方、二酸化炭素を放出して酸素を消費する呼吸は基本的には何時も行っている活動ですので、状況によっては体内で二酸化炭素と酸素をリサイクルして(生長しないで)生きることもあるのではないでしょうか。

ところで、「CO2削減植物、COP(Carbon offset plants)」のことですが、最終的に重要なことは有機化合物として固定(保存)される炭素の総量にあります。夜間に二酸化炭素を吸収するとしても、昼間に二酸化炭素を吸収しなければCOPレベルの向上にはつながらないと思います。普通サボテンは生長が遅いのでCOPとしてのレベルは低いのではないでしょうか。5段階のレベル分けに興味があります。
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2009-10-08
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