質問者:
一般
む
登録番号2095
登録日:2009-10-19
植物生理学の本を読んでいて、レッドドロップとエマーソン効果の記述がよくわからなかったので質問させてください。その本によるとあらゆる波長の光を当てて、光合成速度を測定した結果、680nmより波長が長い光では、クロロフィルaに光が吸収されているにも関わらず光合成速度が低下し(レッドドロップ)、このとき同時に650nmの光を照射するとこの様な低下は見られなかった(エマーソン効果)。この実験から光化学系には2つの異なる過程が連続して起こることがわかった、とありました。自分がわからないのは、光化学系には2つの異なる過程が短波長→長波長の順に連続してているのなら、短波長を単独で照射した場合、なぜ短波長と長波長を同時に照射した場合と同じぐらいの光合成速度が出せるのかということです。短波長単独の場合も光合成速度は低下してしまうのではないかと思うのですが。なぜなのでしょうか。
みんなのひろば
レッドドロップとエマーソン効果について
む さん
その本に書かれていることは別として、この問題に関するエマーソンらの実験結果を整理すると以下のようになります。
(1)単色光を用いて光合成の量子収率(吸収される光量子当たりの光合成量)の波長依存性を調べてみると、680nmより長い波長領域(赤色領域)では、クロロフィルaに光が吸収されているにも関わらず、短波長領域の光の場合(例えば650nm)に較べて収率が低い(レッドドロップ)。
(2)しかし、680nm(より長波長)の光に加えて650nmの光を照射する(2波長で照射する)と、680nm、650nmそれぞれ単独で照射した場合の和より高い量子収率が得られる(エマーソン効果、エマーソンの相乗効果またはエマーソンの第二効果と呼ばれる)。
これらの結果は、650nmの光の下では2つの光化学系がある程度バランス良く駆動されるが、680nmより長波長の光の下では1つの光化学系のみが駆動される傾向が強まるものとして説明できます。このことに関しては実際には多くのことが分かっておりますので、不明な点がございましたら改めて質問を続けて下さい。
その本に書かれていることは別として、この問題に関するエマーソンらの実験結果を整理すると以下のようになります。
(1)単色光を用いて光合成の量子収率(吸収される光量子当たりの光合成量)の波長依存性を調べてみると、680nmより長い波長領域(赤色領域)では、クロロフィルaに光が吸収されているにも関わらず、短波長領域の光の場合(例えば650nm)に較べて収率が低い(レッドドロップ)。
(2)しかし、680nm(より長波長)の光に加えて650nmの光を照射する(2波長で照射する)と、680nm、650nmそれぞれ単独で照射した場合の和より高い量子収率が得られる(エマーソン効果、エマーソンの相乗効果またはエマーソンの第二効果と呼ばれる)。
これらの結果は、650nmの光の下では2つの光化学系がある程度バランス良く駆動されるが、680nmより長波長の光の下では1つの光化学系のみが駆動される傾向が強まるものとして説明できます。このことに関しては実際には多くのことが分かっておりますので、不明な点がございましたら改めて質問を続けて下さい。
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤公行
回答日:2009-10-19
佐藤公行
回答日:2009-10-19