一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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ツルニンジンの巻き方向

質問者:   一般   三上
登録番号2101   登録日:2009-10-30
登録番号0089の回答に「蔓植物が巻きつく方向は、種により左右どちらかに遺伝的に決まっている。」とありますが、登録番号1148の回答には「ツルニンジンは個体によって巻く向きが違う」とあります。
このたび、私が観察したツルニンジンは1個体の2本の蔓が一方は右巻き、他方は左巻きでした。ツルニンジンのこの特質は周知されていることなのでしょうか。また、他にも両方の巻きがある蔓植物があったらお知らせください。
三上さま

みんなのひろばへのご質問ありがとうございました。登録番号1148 の回答者の柴岡です。つるの巻き方については 登録番号0089 でも扱っていますが、この項の回答は少し正確さを欠いているので、改訂を加えたものを、日本植物生理学会(編)の「これでナットク!植物の謎」(講談社ブルーバックス)の中に Q 59 とその回答として載せてあります。参考にして頂ければと思います。その中に、右巻き、左巻きの両方がある植物として、ツルニンジンとツルドクダミ(タデ科)があげられています。つるの巻き方については、進化論で有名なダーウィンの詳しい観察があり、結果が「よじのぼり植物」(渡辺 仁訳;森北出版)という本にまとめられています。その中にも右巻き、左巻き両方巻きの植物が紹介されているのですが、植物名が学名で書かれており、イメージが掴みにくいのが難点です。それでも、ご参考までに書き上げてみます。Loasa aurantiaca(ロアサ科:新しい分類体系ではミズキ科やアジサイ科に近いそうです)や Solanum dulcamara(ナス科)が右巻き左巻きの両方を示すそうです。
途中で巻く方向が変わる植物もあります。Scyphanthus elegans (ロアサ科)、Ipomoea jucunda(サツマイモ属)などです。
ザックスの「植物生理学講義」(渡辺 仁訳;森北出版)には、同じ株から出た茎が違う巻き方をする植物(Blumenbachia lateritia;ロアサ科)が紹介されています。ヒマワリの芽生えを電灯の下に置くと芽生えの先端はは光の軸を中心にクルクルと廻ります。
この廻る運動も、左巻きで動いていたかと思うと、右巻きに変わり、また左巻きに変わります。これがつる植物だったら、途中で巻きが変わることになると思うので、気をつけて観察すると意外に、巻の変わる植物は多いのではないかと思います。
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2009-11-16
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