一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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根の成長と太さ

質問者:   会社員   石川浩二
登録番号2108   登録日:2009-11-10
背景:今年の春からベランダで野菜の栽培を始めました。種から育てるもの、苗を買ってきて育てるもの、幾つか育てて収穫を楽しみました。そこで疑問が出てきました。

質問:植物の成長とともに根が張っていきますが、根が張れる(伸びる)ことができるところ(物質)と張れない(伸びない)ところ(物質)があることに気づきました。
要は、鉢の底に防水のためにフィルムや紙を敷いたのですが、

① 不織布だと突き破って外にまで根が出てくる
② フィルムや紙だと突き破ってこない

ことが分かりました。
植物は道路脇などでも育って根を張り、コンクリートをヒビ割らせたりすることもあるくらいなのに、紙やフィルムは突き破れないのはなぜでしょう。素人的には、根が入り込んでいく最初の「隙間」がいるのかなと思い、ネットで調べてみたのですが、分かりませんでした。入り込んでいく根と隙間に何らかの関係があるのでしょうか? それとも全く関係なく別な理由でフィルムや紙を突き破らないのでしょうか? 教えて頂けますでしょうか?
石川浩二さま

みんなのひろばへのご質問ありがとうございました。しっかりとした観察と、観察結果に対する考察、感心しています。結論から申し上げると、石川さまのお考えの通りで、『根が入り込んでいく最初の「隙間」がいる』のです。根は先端の近くで細胞分裂を行い、分裂により生じた細胞が大きくなることによって長くなります。根は生まれたばかりの柔らかい赤ん坊の細胞を先頭にして伸びているので、紙のような物を突き破ることができないのです。ところが、先端から離れるに従って、細胞は細胞の周りに細胞壁という物を発達させ丈夫になってゆきます。やがて根の中には形成層と呼ばれる筒状の層が現れてきます。形成層の細胞は細胞分裂を行い、層の内側や外側に細胞を送り出すので、根は太りだします。この頃になると根の表面には茎の表面のような丈夫な皮(周皮とよんでいます)ができます。丈夫な皮を持った根が太るので、壁を割ったりすることもできるのです。
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2009-11-16
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