一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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連作障害が起きない仕組み

質問者:   自営業   佐藤教行
登録番号2112   登録日:2009-11-13
あるサイトhttp://www2.tokai.or.jp/shida/FarmAssist/rensakusyougai.htmで、ダイコン、サツマイモ、カボチャ、コマツナ、ニンジン、タマネギ、ネギ、ニンニク、ミョウガ、フキ
等は連作障害が出にくいとあったのですが、具体的になぜでにくいのでしょうか?


病原菌をうまく土壌に残さない仕組みでもあるのでしょうか?
あるいは病気に対する抵抗性がしっかりしているでようか??
佐藤教行 さん:

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。

数十年前までの畑作農業は多くの違った作物を栽培していたためあまり大きな問題とはなっていなかったようですが、戦後しばらくたって生産効率を重要視することから単一種の集約栽培が行われるようになって畑作の連作障害が問題になりはじめました。
連作障害という現象は実に不思議なもので、いくつかの指摘されているような作物、多年生野草の大群落や樹木純林などでは問題となっていません。そこで、作物の連作障害はなぜおこるのか、その原因を探る多くの研究が続けられていますが、はっきりした原因は特定されていません。一般的に指摘されていることは、土壌微生物生態相の変化、線虫の増加、栄養要素の不足、過剰(バランスの欠如)、土壌物理的性質や酸性度の変化、成長抑制物質の集積などがあげられています。しかし、これらは作物生育一般に不都合な条件で、連作障害における作物の特異性や輪作、混植によって連作障害を避けられることを説明することができません。栽培した作物種に特異性が比較的高い土壌病害菌の繁殖、特異性の高い抑制物質の集積などはある程度その特異性を説明することができますがそれだけでは十分ではありません。連作障害の事例報告集を見ても、植物体に深刻な症状をしめす病原微生物や生理障害によるものが多くあります。しかし、根菜類、果菜類などで連作したときに栄養体の生育は続くものの収穫量が極度に減少する型の連作障害もあり、たくさんの課題が残されています。連作障害を受けにくいとされている作物のほとんどは経験的に得られたもので、ある種の回避機構があるのかないのかなどは分かっていないのが現状です。

JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2009-11-18
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