おたね　さま

キクの葉の切れ込みが、赤色、青色のLED光を自然光に加えて照射すると、深くなったとの観察は大変面白い現象です。夜間もLED光を照射しているので、自然光だけのキクに比べると、夜間も光合成が続いていることになります。しかし、LED光は、自然光に比べ光合成に有効な照度が13%高いだけですので、昼間の光合成量は僅かに増加する程度でしょう。しかし、(2), (3)では夜間にもLED光を照射しているため、昼間の光合成速度に比べ〜10%程度の低い速度ながら光合成が夜間も続いていることになります。
葉の形は植物の種類によっていろいろであり、ハスのように切れ込みのない大きな葉から、モミジのように切れ込みの深い葉に至るまで、遺伝的に決まったそれぞれの種特有の形をもっています。これらについては本質問コーナーの質問登録番号1995の回答に、参考書を含め、葉の形について議論されていますのでご覧下さい。

キクについてのLED光の葉の切れ込みに対する効果がご質問にあるように光合成が〜10%増加するためであるかどうかは、赤色、青色LEDの代わりに、同じ照度の白色光(例えば白色蛍光灯)を同じ条件で照射すれば確かめることができます。白色光でも赤、青のLED光と同じように切れ込みが深くなれば、光合成量が切れ込みの原因であると推定できます。しかし、白色蛍光灯を照射しても深い切れ込みがみられなければ、光合成量が原因ではなく、赤色(波長600-700 nm)、または青色(波長400-500 nm)の光を、形態形成に関与する光受容体（赤色：フィトクローム、青色：クリプトクローム、ホトトロピン）が吸収し、これが信号になって葉の形を変化させている可能性も考えられます。葉の切れ込みが深くなれば一枚の葉の表面積は小さくなりますが、しかし、下の葉は、上の葉の切れ目から漏れる光を受けることができ、個体全体の光合成量は増えるかも知れません。


第二のご質問は、一概にお答えするのが難しい問題です。リンゴの袋かけは果実の品質向上のため広く行われていますが、それぞれの栽培地での長い経験から、最も効果的な時期を選んで行われていると思われます。今回の場合、袋をかけなければ果皮に点々が見られるようですが、これは昆虫に食べられた痕跡、さらに、自然環境では、風で飛んできた砂による傷かもしれません。袋によってこの様な障害はなくなるため、果皮がきれいで、またその内部の果肉部分も表皮の乱れがないため細胞がきれいにそろっているように思われます。リンゴの果実の（柔らかく、甘くなるなどの）成熟過程には、果実から発生するエチレンが必要ですが、この果実のエチレン発生に袋かけが影響するかどうか、なども調べてみる必要があるでしょう。エチレンについては本質問コーナーにもしばしば議論されていますのでご覧下さい。