一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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ダイコンの葉はどうして朝と晩で違うの?

質問者:   教員   ヨッシー
登録番号2138   登録日:2010-01-31
子ども達とダイコンを調べていくうちに昼と夜でダイコンの葉が寝ている時とたっているときがあることを知ってどうして?と聞かれて困ってしまいました。またダイコンの葉が何のためにロゼット状に葉を広げるのかもわからないので一緒にお願いします。
ヨッシー さん:

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。

子ども達はとても微妙な動きに気がつかれましたね。私はダイコンの葉が夜と昼とで動くことを知りませんでしたので、近くの畑にダイコンを探しました。すでに葉が大きくなっていて収穫直前のようなものばかりで、はっきりとした動きを確認できませんでしたので他の植物の葉の動きを例に挙げてご説明したいと思います。

多くの植物は、体の中に時計(体内時計)を持っていて、時間を計りながら周期的な運動をします。地球上に生育する生物は、昼と夜におこる明暗の周期的変化の中で進化してきたために、ほぼ24時間を周期とするリズム(概日リズム)を刻む体内時計ができあがったと考えられています。

身近なところではカタバミの葉や花、タンポポの花は、昼間は開いていますが、夜になると閉じます。ネムノキのようなマメ類の葉も同じ動きをします。夜になると眠るように見えるので就眠運動とよんでいます。最近の研究では、葉や花の開閉運動ばかりでなく、成長の速さ、体内の代謝の速さなども一定の周期で早くなったり遅くなったりしていることも分かってきました。ダイコンのようなロゼット葉の運動についてはあまり記載がありませんが、ショウジョウバカマのロゼット葉が明暗を感じて立ち上がったり寝たりすることが観察されています。子ども達が気づいたダイコンの葉の動きも、この就眠運動の一つと思われます。ダイコンの花が咲く時期も体内時計が重要な働きをしています。ふつう昼と夜とでは温度が変化するため、温度を感じて開いたり閉じたりするものもあり、その代表例がチューリップ、サフラン、マツバボタンの花です。これらの花は、昼間でも気温が低いときは閉じます。反対に、暗くても温度を上げると開きます。庭や畑に生えているいろいろな草の葉、花の動きを子ども達に観察させてください。


ロゼットについては、このコーナーの0226に詳しい解説がありますので、それをご覧になってください。ダイコンは栽培作物ですので、0226の解説がそのまま当てはまらないような感じを受けるかも知れませんが、原産地は地中海沿岸とされており原種の性質が残っているものです。

JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2010-02-02
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