一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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酸性土壌に強い街路樹には何がありますか。

質問者:   その他   佐野 徳直
登録番号0215   登録日:2005-02-22
私、仕事で植木関係の業務をしておりますが、あるお客様から酸性土壌に強い街路樹には何があるかを質問されました。
大体はわかりますが、理論的に教えてほしいといわれどのように答えたらよいのかわかりません。
どうかお教えください。
佐野 徳直さま

街路樹として総括的に行われた研究はありませんので不十分な答えしか出来ませんがご了承下さい。

これまで樹木の類で酸性(アルミニウム)に強いと報告されたものとして

アジサイ(ハイドレンジャー:西洋アジサイ)、チヤ、くるみ科(ペカン、ヒッコリー)、イチジク、かばのき科(シデ)、マングローブ、ノボタン、エリカ、アカシヤ、メラルーカ、シヤクナゲ、ユーカリ、クスノキなどがあります。

酸性土壌に強い理由も複雑ですが、一般的に考えられている酸性土壌における害は、土壌中に大量に含まれているアルミニウム(酸性土壌でなければ安定した不熔性の形態をとっている)が、酸性条件下で土壌水中に溶解するアルミニウムイオンになることによると考えれています。このアルミニウムイオンが吸収されて根の成長が著しく阻害されます。その結果、根の水分、養分の吸収が抑制されます。従って、根圏(根が土壌に接している部分)のpH(水素イオン濃度)を下げないようにする仕組み、あるいはアルカリ化する仕組みを持つ植物は酸性に強いと考えられます。

また毒性のアルミニウムイオンとキレート結合を形成して無毒化する仕組みが知られています。したがってキレート物質として有機酸(リンゴ酸、クエン酸など)やフェノール性化合物を根から分泌したり、多く蓄えている樹木は酸性に強いと考えられます。
岡山大学
 松本 英明
回答日:2009-07-03
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