一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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植物と光

質問者:   小学生   植物人間
登録番号2151   登録日:2010-02-22
なぜ、日光は植物の育つためのエネルギーになるのか。また、植物が育つための栄養を自分でつくるのに〔光合成〕どのようにして光がつかわれているのか。
植物人間 くん


このコーナーに質問をくださりありがとうございます。



まず、「光合成」についての説明から始めることにします。

光合成とは、植物が二酸化炭素や水などの簡単なもの(無機物と呼ばれる)からデンプン・タンパク質・脂肪などの複雑なもの(有機物と呼ばれる)を合成する反応のことをさします。ところで、一般に、複雑なものは簡単なものに比べてより多くのエネルギーを含んでおります。したがって、無機物から有機物を合成する光合成が進行するためには、先ずエネルギーの取り込みが必要となってきます。光合成で利用されるのは光のエネルギーです。


ところで、光はエネルギーの粒のようなもので、専門的には「光量子(コウリョウシ)」などと呼ばれることがあります。光のエネルギーが利用されるためには、先ず光量子が物質によって吸収される必要があります。光を吸収する物質は「色素(色が付いているもの)」と呼ばれています。光合成で働くおもな色素は「クロロフィル(葉緑素)」です。光合成の反応の仕組みを説明することは簡単ではありませんが、大まかには、クロロフィルに吸収された光エネルギーが別の形のエネルギー(化学エネルギー)に変換され、無機物から有機物を合成する反応に使われています(エネルギーは形を変えるのです)。



私たちを含む動物は、植物が合成した有機物を食物として取り入れ、「呼吸」などの反応でこれを分解して、その際に取り出されるエネルギーを生命活動に利用して生きています。言い換えると、有機物は光のエネルギーを詰め込んだ缶詰のようなもので、私たちはこのエネルギーの缶詰に依存して生活しており、間接的には光エネルギーを食べて生きていることになります。そんな意味で、“植物”は大変重要ですね。



以上、少し難しい説明になったかもしれませんが、理解していただけたでしょうか。


JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤公行
回答日:2010-02-24
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