質問者:
小学生
植物男
登録番号2154
登録日:2010-02-26
佐藤公行先生このあいだは、質問に答えていただき有難うございました。日光が植物の育つためのエネルギーにどのようにしてなるのかが、大変良く分かりました。植物のなぜ?
さて、今回の質問は、なぜ植物の維管束は、形成されているのと、散らばっているのとがあるのか。植物によって葉のつくりが違うのか。植物によって根っこの形が違うのかです。
植物男 くん:
みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
植物男くんのように植物の形や働きに強い関心をもつ小学生がいることを心強く思います。植物をよく見るといろんな疑問がおきますね。ところが、今回の疑問にお答えするのはとても難しいことです。確かなことは、今からおよそ4億2千万年前に地上植物が現れ、今までの間に少しずつ形や生き方が変わってきて現在のたくさんの種類の植物ができあがったことです。この変化を生物進化とよんでいます。植物の種類によって葉の形、根の形がちがうのも、また維管束が輪のようにきれいに並ぶもの、散らばっているものができるのも進化の結果ですので、まず進化ということを考えてみます。
植物男くん、生物の形、働きはすべてたくさんの遺伝子の働きで決められることは知っていますね。親から子供へと代々受け継がれていき、変わらないものと思われますが、4億年の間におこった環境のいろいろな変化によって遺伝子の数も作りも少しずつ変わっていきました。遺伝子が変わればその働きも少し変わるものがあり、その結果変わった遺伝子をもった生物は形や働きが少し違うものができます。
遺伝子の種類はたくさんあって、どの遺伝子がどのくらい変わるかは偶然が決めていました。そのため、たくさんの種類の形や働きが違った生物ができた筈です。中には遺伝子が変わりすぎて死んでしまったものもあるはずです。生き残った変わり者たちも、その時代の自然環境の中で生き残れるもの、生き残れないものが出来ます。このような遺伝子の変化、形の変化、働きの変化を4億年の時間をかけて繰り返して生き残ってきたのが現在の生物種です。
維管束の並び方もたくさんの遺伝子が働いて決められていますが、進化の途中でそれらの遺伝子が変化したために多種多様な並び方をもった植物がどこかの時代にできたはずですが、結局生き残れたのは今の双子葉植物に見られる輪のように並んだものと、単子葉植物に見られる散らばったものだったのです。何本かの維管束が固まって束になったものもできたかも知れません。でもそれは生き残れなかったのです。葉の形もたくさんの遺伝子の働きで決まります。それらの遺伝子が少し変化してヤツデやカエデのように変化したり、ネムノキやオジギソウのように複葉になったり、縁にギザギザができたり、丸くなったり、長くなったりしても生き残ることには問題がなかったので、いろんな形の葉をもつ植物が今も残っているものと考えています。根の形についてもまったく同じことで、今の根の形だけが生き残ることができたものと考えているのです。
植物男くん、忘れてはいけないことは、このような変化は4億年というとても長い時間をかけておきたこと、この間には空気の組成、温度、太陽活動、紫外線・放射線の強さなどの自然環境も大きく変動していたことです。そのために、たくさんの種類ができ、生き残れたものだけが残ったのです。ヒトが類人猿との共通の祖先から分かれたのは諸説ありますが1000万年くらい前と考えて良いでしょう。この、わずか1000万年の間に現在のようにたくさんの人種ですらできあがったのです。
みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
植物男くんのように植物の形や働きに強い関心をもつ小学生がいることを心強く思います。植物をよく見るといろんな疑問がおきますね。ところが、今回の疑問にお答えするのはとても難しいことです。確かなことは、今からおよそ4億2千万年前に地上植物が現れ、今までの間に少しずつ形や生き方が変わってきて現在のたくさんの種類の植物ができあがったことです。この変化を生物進化とよんでいます。植物の種類によって葉の形、根の形がちがうのも、また維管束が輪のようにきれいに並ぶもの、散らばっているものができるのも進化の結果ですので、まず進化ということを考えてみます。
植物男くん、生物の形、働きはすべてたくさんの遺伝子の働きで決められることは知っていますね。親から子供へと代々受け継がれていき、変わらないものと思われますが、4億年の間におこった環境のいろいろな変化によって遺伝子の数も作りも少しずつ変わっていきました。遺伝子が変わればその働きも少し変わるものがあり、その結果変わった遺伝子をもった生物は形や働きが少し違うものができます。
遺伝子の種類はたくさんあって、どの遺伝子がどのくらい変わるかは偶然が決めていました。そのため、たくさんの種類の形や働きが違った生物ができた筈です。中には遺伝子が変わりすぎて死んでしまったものもあるはずです。生き残った変わり者たちも、その時代の自然環境の中で生き残れるもの、生き残れないものが出来ます。このような遺伝子の変化、形の変化、働きの変化を4億年の時間をかけて繰り返して生き残ってきたのが現在の生物種です。
維管束の並び方もたくさんの遺伝子が働いて決められていますが、進化の途中でそれらの遺伝子が変化したために多種多様な並び方をもった植物がどこかの時代にできたはずですが、結局生き残れたのは今の双子葉植物に見られる輪のように並んだものと、単子葉植物に見られる散らばったものだったのです。何本かの維管束が固まって束になったものもできたかも知れません。でもそれは生き残れなかったのです。葉の形もたくさんの遺伝子の働きで決まります。それらの遺伝子が少し変化してヤツデやカエデのように変化したり、ネムノキやオジギソウのように複葉になったり、縁にギザギザができたり、丸くなったり、長くなったりしても生き残ることには問題がなかったので、いろんな形の葉をもつ植物が今も残っているものと考えています。根の形についてもまったく同じことで、今の根の形だけが生き残ることができたものと考えているのです。
植物男くん、忘れてはいけないことは、このような変化は4億年というとても長い時間をかけておきたこと、この間には空気の組成、温度、太陽活動、紫外線・放射線の強さなどの自然環境も大きく変動していたことです。そのために、たくさんの種類ができ、生き残れたものだけが残ったのです。ヒトが類人猿との共通の祖先から分かれたのは諸説ありますが1000万年くらい前と考えて良いでしょう。この、わずか1000万年の間に現在のようにたくさんの人種ですらできあがったのです。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2010-03-01
今関 英雅
回答日:2010-03-01