一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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植物プランクトンの二酸化炭素分解能

質問者:   高校生   海好き
登録番号2157   登録日:2010-03-02
友達と陸上の木と海の植物性プランクトンの二酸化炭素の分解能力の大きさで
争っています。
森林に関しては、平方メートルあたりの分解能が書かれていてよくわかるのですが、海の植物性プランクトンに関しては濃度の問題もあって、よくわかりません。
詳しく教えてください。よろしくお願いします。
海好き さん



回答するのが少し遅くなってすみません。

この質問には神戸大学内海域環境教育研究センターの村上先生がお答え下さいましたので、ご参考にして下さい。このコーナーの登録番号1157もご覧下さい。






(村上先生からの回答)



今回の質問と密接に間連した質問(CO2の固定度:登録番号1157)を2007年1月に受け、それに対する回答の中で海での二酸化炭素の固定量について書きましたので今回の回答と併せて是非お読みください。なお、光合成により二酸化炭素は「分解」されるのではなく、糖などの有機物として「固定」されます。
 

今回の質問に書かれているように、二酸化炭素の固定量を知るためには、光合成を行なう植物や植物プランクトンの量あるいは濃度が重要です。世界の海全体での植物プランクトン量を把握するため人工衛星による観測も行なわれていますが、まだいくつかの課題が残されています。固着して生育している植物とは異なり、植物プランクトンは水の流れや風・波によって移動することで一定の海域での量も常に変わります。

当然、季節によっても植物プランクトンの量や種類は変化します。さらに、二酸化炭素固定のための光合成反応は、光量、温度、栄養素などの環境要因に依存して変わり、植物プランクトンの種類によってもその光合成特性は異なっています。



このような状況は陸上の植物でも同様なので、森林などの陸上植物による二酸化炭素の固定量を正確に把握するために、植生と二酸化炭素のフラックスをシミュレートするモデルに基づいた地球全体の二酸化炭素固定量の推定値が報告されています。異なる研究グループから報告を総合すると、炭素元素量で示された年間の炭素固定量は、陸上で約40〜65Pg、海では約50Pg、地球全体で約105Pgの値になります。前回の回答にも書きましたように、地球全体で比較すると陸上と海の二酸化炭素固定量は同レベルようです。従って、友達との争いは引き分けになるのではと思います。



村上明男(神戸大学・内海域環境教育研究センター)
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤公行
回答日:2010-03-12
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