質問者:
一般
オーキシン
登録番号2160
登録日:2010-03-13
肥料の役割(細胞内でどのような働きをしているか)について、わからなくなりました。私の理解するところで肥料の3大要素について次のようにまとめました。この理解でよいかどうかお聞きしたいです。①「窒素は、茎や葉など植物の体を大きくするのに不可欠なものです。これは植物に限らず生物のからだの最も重要で基本的な生体成分である、たんぱく質と核酸の構成要素だからです。たんぱく質は窒素がないと合成できませんし、生物のからだの主要な部分を作りほとんど全ての生命過程に関わっている物質です。酵素もたんぱく質の一つで、生命を維持するための活動(呼吸、成長と分化の制御、光合成、さらに動物では、筋肉の収縮、消化吸収)など、重要な働きをしています。核酸は、窒素、リン酸がないと作れません。遺伝子の本体であり、様々なたんぱく質を体の中で作るときに必要な物質です。DNAも核酸の一つです。」②リン酸については、「新しい細胞を作るなど、生物のあらゆる生活活動のエネルギーは、主として炭水化物の中に含まれる化学エネルギー(光合成で作られたもの)です。この化学エネルギーは、細胞内でATPという形になってはじめて細胞の中で使われます。リン酸は、このATP(アデノシン三リン酸)の構成要素です。また、リン酸は、細胞分裂、生育の盛んな所(根や茎頂などの先端部)にたくさん必要で、リン酸を含む脂質はリン脂質といい、細胞膜を作る主要な物質です。リン酸は、細胞の分裂、増殖、伸張に深く関わり、体力を恒常的に維持し成長するために必要なものです。」③カリウムについては、「全ての生物に多量に必要とする元素で、生体内では、細胞内の電解質(細胞の中の水溶液に溶けている生命活動に不可欠な物質)の主成分です。体内のカリウムの大部分が細胞の中にあります。細胞の中と外のカリウムの濃度のバランスはとても重要で、このバランスが崩れると細胞はうまく働けなくなります。人間では、カリウムが不足するとむくみや筋力低下、高血圧、心臓発作などの症状が現れ、植物では、カリウムが不足すると古い葉の先端や縁が黄色くなってきます。また、植物は生長するときに大量のカリウムが必要となるため、育てるために肥料としてあげることが重要です。カリウムは、丈夫で健康な体にするのに、また、体の健康を維持するために必要なものといえるでしょう。」
みんなのひろば
肥料と植物の体のしくみ
オーキシンさん
ご質問ありがとうございます。お返事遅くなり申し訳ありませんでした。間違いがないかどうかを聞く質問で、植物の不思議という観点から何を考えておられるのか良くわからず、どうしたものかどうかと悩んでいるうちに時間が経ってしまいました。
植物にとっての3大元素である窒素、リン酸、カリウムは、植物を構成する元素の中でも量が多いものです。酸素、炭素、水素原子も多いわけですが、これらは、水と二酸化炭素から得ています。これら以外にも、マグネシウム、カルシウム、硫黄、ホウ素、鉄、マンガン、亜鉛、銅、ニッケル、モリブデンなども必要です。
ただ、動物と違って、大抵の植物はナトリウムを必要としません。微量しか必要としない元素は、土の中に存在する量で十分まかなわれることが多いのです。しかし、植物が沢山必要とする元素である、窒素、リン酸、カリウムは欠乏しやすく、そのため肥料の効果が現われやすいのです。
何に必要か、ということになりますと、その元素が含まれている生体内成分すべてに必要なわけです。オーキシンさんがおっしゃるように、タンパク質には、酸素、炭素、水素原子以外に、窒素原子が沢山含まれています。DNAにも沢山の窒素原子が含まれています。これら以外に、非常に多くの生体内分子には窒素が含まれているのです。
また、リンは、DNAやRNAなどの遺伝情報を担う分子、ATPなどのエネルギーの運搬役となる分子に沢山含まれています。カリウムは、オーキシンさんがおっしゃるように、生体内分子を構成する元素ではなく、カリウムイオンとして細胞内に存在しています。その量が変化すると、細胞内環境が崩れてしまうのです。ナトリウムやカリウムイオンの役割は、動物と植物で違っていますが、ここでは言及しません。
こう書いてみますと、オーキシンさんの書いておられる事は正しいです。しかし、付け加えると、窒素やリンを含む生体内分子は非常に多く、書ききれない、ということにもなります。これらに関しては、様々な本に様々な観点から書かれていると思います。全体をまとめて下さい、というのは困りますが、不思議だと思う事があれば、何でも聞いてみて下さい。さらに専門家に回答を依頼します。
ご質問ありがとうございます。お返事遅くなり申し訳ありませんでした。間違いがないかどうかを聞く質問で、植物の不思議という観点から何を考えておられるのか良くわからず、どうしたものかどうかと悩んでいるうちに時間が経ってしまいました。
植物にとっての3大元素である窒素、リン酸、カリウムは、植物を構成する元素の中でも量が多いものです。酸素、炭素、水素原子も多いわけですが、これらは、水と二酸化炭素から得ています。これら以外にも、マグネシウム、カルシウム、硫黄、ホウ素、鉄、マンガン、亜鉛、銅、ニッケル、モリブデンなども必要です。
ただ、動物と違って、大抵の植物はナトリウムを必要としません。微量しか必要としない元素は、土の中に存在する量で十分まかなわれることが多いのです。しかし、植物が沢山必要とする元素である、窒素、リン酸、カリウムは欠乏しやすく、そのため肥料の効果が現われやすいのです。
何に必要か、ということになりますと、その元素が含まれている生体内成分すべてに必要なわけです。オーキシンさんがおっしゃるように、タンパク質には、酸素、炭素、水素原子以外に、窒素原子が沢山含まれています。DNAにも沢山の窒素原子が含まれています。これら以外に、非常に多くの生体内分子には窒素が含まれているのです。
また、リンは、DNAやRNAなどの遺伝情報を担う分子、ATPなどのエネルギーの運搬役となる分子に沢山含まれています。カリウムは、オーキシンさんがおっしゃるように、生体内分子を構成する元素ではなく、カリウムイオンとして細胞内に存在しています。その量が変化すると、細胞内環境が崩れてしまうのです。ナトリウムやカリウムイオンの役割は、動物と植物で違っていますが、ここでは言及しません。
こう書いてみますと、オーキシンさんの書いておられる事は正しいです。しかし、付け加えると、窒素やリンを含む生体内分子は非常に多く、書ききれない、ということにもなります。これらに関しては、様々な本に様々な観点から書かれていると思います。全体をまとめて下さい、というのは困りますが、不思議だと思う事があれば、何でも聞いてみて下さい。さらに専門家に回答を依頼します。
日本植物生理学会 広報委員長
柿本辰男
回答日:2010-05-23
柿本辰男
回答日:2010-05-23