一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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受粉後の経過観察について

質問者:   小学生   モンティー
登録番号2162   登録日:2010-03-21
はじめまして。学年は4月から6年生になります。
4年生の時から自由研究で花粉のことを調べてきました。
今年も今から取り組もうと思っています。
去年は花粉官を伸ばし胚珠の胚のうにたどりつくところまでを
顕微鏡(ビクセンs-800)で確認しました。
寒天培地で色々試しましたが最初はうまくいかず
やっと伸びるようになりましたが胚珠にたどりつかず・・・。
でも東山教授の研究を読みトレニアの胚珠を見たり
(僕の家にもトレニアがあったので)
花柱から花粉管が伸びてきたところを自分の顕微鏡で見れて
すごく感動しました。
こうなると今度はその後どうなっていくのかが見たくなり
今回はそれをテーマにがんばりたいと思うのですが
花粉管が胚珠の胚のうに到達した後
どのように変化し種子になっていくのかを
観察するうまい方法が(顕微鏡の中でそのまま観察も
できないし)思いつきませんでした。
でもいろいろ調べたらサヤエンドウのサヤの部分が子房で
種子の部分が胚珠でスジの部分は花柱とめしべのざんがいだと
書いてありました。なので受粉後、おおきくなっていく
サヤエンドウを順番に取っていきスライスして(輪切り?)観察していけば
めしべや花柱などがどのように変化してサヤエンドウ豆に
なるのかの過程がわかるのかなと予想しました。
でも本当にそんなやり方で変化していく様子がわかるのでしょうか?
もっと変化していく過程がわかるやり方などがあれば
アドバイスをよろしくお願い致します。
モンティー くん

花粉管の観察から花の授精がどんな具合にすすんでいるのかをとてもうまく観察しているのには驚きました。生物学はすべて綿密な観察から始まりますので、これからも続けてください。
アドバイスはモンティー君が参考にした解説を書かれた名古屋大学の東山哲也先生にお願いしましたら、次のようなアドバイスをいただきました。大いに参考にしてください。これからも分からないこと、不思議なことに巡り会ったら遠慮なくこのコーナーを利用してください。



【東山先生のアドバイス】
はじめまして、名古屋大学の東山と申します。小学校5年生でこれほどしっかりしているとは、大変驚きました。是非次の実験も頑張って下さい。

ご質問についてですが、とても着眼点がいいと思います。
サヤエンドウでしたら、サヤ(果実)の部分の長さを基準にすることで、受精後の時間を追った変化(経時変化)が調べやすいと思います。さまざまな長さのサヤを解剖して内部を観察し、一方で受精後の日数とサヤの長さを調べておくといいと思います。
そうすると、受粉から何日経った時に、種子や果実がどのように変化していくのか知ることができます。前回行ったように、花粉管が胚珠に到達するタイミングまで調べておくと、さらにいいでしょう。観察方法は、試行錯誤しながら考えてみるといいと思います。


被子植物は重複受精をします。あまりヒントは言いませんが、マメ科の植物を観察されるので、「胚乳」についても考えながら観察するといいと思います。
また、前回観察されたトレニアは、虫がいないと自動的には受粉せず、自家不和合性(自分の花粉では受精できない性質)もありません。ですので、人工受粉がとても容易です。受粉した雌蕊の子房を時間を追って解剖すると、花粉管が胚嚢に到達する前後の変化や、受精卵が発生を開始する様子が見られます。合わせて観察されるといいでしょう。
自由研究がうまく進むといいですね。ぜひ頑張って下さい。



東山哲也(名古屋大学 理学研究科 生命科学専攻)
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2010-03-30
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