一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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花の水切りの際の疑問

質問者:   一般   みひろ
登録番号2163   登録日:2010-03-23
 先日、元気のなくなっていたチューリップの切花の茎を水の中で切ったら
元気になりました。

 そこで小3の娘から質問され、返答できず困ってしまいました。

 他の方の色々な質問で水の表面張力・凝縮力の事は分かりましたが
なぜ斜めに切ると効果的なのでしょうか??

 断面が大きくなると吸収力がアップするという理屈は何となく分かるのですが
導管の太さが変わるわけでないので、通る水分量は同じだと思います。

斜めに切らなくても まっすぐに切っても導管自体を通る水分量が同じでは
斜めに切る理由が分からなくなってしまいます。

いつもは導管には80%位しか水分が通っていなくて、斜めに切ったら表面張力アップで100%吸い上げが出来るので斜め切りが有効と娘は推測を立てています。

 ささいな質問で申し訳有りませんが、お答え下さい。
みひろ樣

質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。
花の水切り(水揚げ)についての下記のご質問にお答えします。


切り花の水揚げがよいようにほどこす処置は様々あります。
水中で茎を切る、茎の切り口を叩いて潰す、火で焼く、お湯に付けるなどなど。いずれも、茎の切り口付近の組織へ水が浸透しやすいようにするものです。

なかでも、斜め切りはごく一般的に行なわれる方法ですね。
さて、茎の切り口から水が道管に吸収されるとき、水は道管の切り口からだけ直接に入る訳ではありません。
道管を取り囲む他の組織も吸水し、そこから道管内へ水の移動があります。茎の表皮はクチクラやワックスなどで覆われており、一般には水がしみ込みにくいようになっていますから、もし、茎に対して直角に切ったら、露出する切り口の面積(露出している、水が浸透しやすい組織の面積)は最小となります。斜めに切ればその面積は大きくなる訳です。斜め切りは道管内の水の表面張力や凝集力が大きくなったりすることとは関係ありません。道管に入る水の供給区域が広くなったと思って下されば良いのではないでしょうか。

JSPPサイエンスアドバイザー
勝見允行
回答日:2010-03-30
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