植物Q&A

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ひまわりの屈光性について

質問者:   一般   みひろ
登録番号2168   登録日:2010-04-03
 いつもおかしな質問で申し訳有りません。
 ご丁寧に解説して下さり、大変良く分かりやすく感謝しております。

 
 先日、またまた小3の娘が

 「ひまわりってどうやって太陽の方に向くんだろう??」という難問を

 突きつけてきました。

 確かにひまわりが太陽の方へ向くというのは一般によく知られていますが

 どういう働きで向くのか??なぜ他の植物では見られないのか??
 
 色々と調べた所、屈光性という単語まで行き着き、

 つぼみの時に太陽の動きに合わせて動き、

 開花後は東に向くという事までは分かりましたが、

 どういう作用でというのは分かりませんでした。

 人間だと筋肉を収縮させて動きを出せますが。。。。。。

 
 娘の推測では
 
 師管内のデンプン量を調整して動くのだと言います。
 
 伸びる方は(太陽に向く反対側)はデンプン多
 
 縮む方は(太陽に向く側)はデンプン少
 
 それで伸び縮みして動く。

 一つの茎で 左右のデンプン量が違うのではないかという事です。


 残念な事に娘の仮説を立証できるほどの知識も技術も無く。。。

 よろしくお願い致します。

 
 
 
みひろ様

みんなのひろばへのご質問ありがとうございました。担当の柴岡ともうします。ヒマワリの運動についてお嬢さんが仮説を立てておられるとのこと、素敵なことだと思います。植物の営みに不思議を感じても、ただ感じているだけでは前に進みません。仮説を立ててその仮説が正しいかどうかを、植物に聞いてみる(実験をする)ことによってのみ、前に進めるのだと思っているからです。さて、ヒマワリの話に入りましょう。その前に、これまでに勉強なさったことが、必ずしも正しくないので、訂正させて頂きます。「つぼみの時に太陽の動きに合わせて動き」とありますが、つぼみを着ける前から動いています。「開花後は東に向く」も正しくありません。花が咲く向きは、ヒマワリの植わっている場所によって異なっており、東側に森や建物などがあり、東からの光が当たりにくい場所では西を向いて咲きます。広々としたヒマワリ畑のヒマワリの大多数は確かに東を向いて咲いていますが、畑の西側のはずれのヒマワリは他のヒマワリによって東側からの光を遮断されるので、西を向いていることがあります。このことについては登録番号 0033, 1372 を参照して下さい。さて、ご質問の「どうやってヒマワリは太陽の方を向くんだろう」の問題に入ります。古い手品に「見えない糸」というのがあります。他愛もない手品ですが、植物の茎が曲がる仕組みを説明するのに便利なのでご紹介いたします。細長い紙を用意します。幅3センチ、長さ10センチくらいで良いでしょう。まず縦に折ります。折り目に沿って6センチほど切れ目を入れます。切った後、もとのように折って切れ目の入っている方を下にして、下の端を親指と人差し指で挟みます。紙を挟んだ指は前方に向けて下さい。左手は紙の上の端と同じ高さに、あたかも紙の上の端から伸びている見えない糸を持っているように構えます。左手を左方向に動かすのと同時に、紙の下の端を持っている人差し指を上にずらします。紙の先端は見えない糸で引っ張られているかのように、左に曲がって行きます。紙がヒマワリの茎、左側が東、右側が西だとすると、人差し指を上にずらした状態が朝のヒマワリです。つぎに親指を上にずらしましょう。紙はまっすぐ上を向き、さらに親指を上にずらすと、右側に曲がって行きます。上を向いた状態が正午近くのヒマワリ、右側に曲がった状態が夕方のヒマワリに当たります。もう分かったと思いますが、ヒマワリの茎の先端が東を向くのは茎の西側が東側より伸びるからで、西側を向くの茎の東側が西側より伸びるからです。さて、茎が太陽を追って曲がるのが、茎の東側と西側で伸びる早さが違うからだということになると、この違いを起こしているのは何かという疑問が湧いてきます。この違いを起こしているものは茎の伸びを促進するオーキシンというホルモンです。茎の西側半分のオーキシンの濃度が東側半分の濃度より高いと、西側半分のほうが東側半分よりよく伸びるので、茎は東側に曲がることになります。その次の疑問です。どうやって茎の両側のオーキシン濃度に差が生じるのかです。登録番号 1661 にも書いてありますが、茎に横から光が当たると、光が当たった側から影側にオーキシンが移動するのです。その機構については少し難しいですが登録番号 1143 に書いてあるので参照して下さい。ヒマワリの場合、茎に横から光が当たらなくても、オーキシンの濃度に不均一が生じます。オーキシンは芽や若い葉から茎に送られてきますが、葉から茎に送られてくるオーキシンの量が葉に当たる光の強さによって違うのです。葉に光が当たらないとオーキシンは送られません。光が当たると送られてきますが、光が強くなりほど送られる量も増えてきます。大きくなったヒマワリは沢山の葉を持っており、それぞれの葉は傾きを持って茎に付いています。横方向から光が指している場合、それぞれの葉に当たる光の強さに違いが生じ、その結果、それぞれの葉から茎に送られるオーキシンの量に差が生じ、茎が曲がるのです。最後に、「何故ほかの植物では運動が見られないのか」についてですが、ほかの植物でも太陽を追う運動は見ることができます。そんな植物を見つけて下さい。ヒントをお教えしましょう。これまで書いたように、太陽を追う運動は茎の伸びによっています。花が咲いたヒマワリはもう伸びないので動きません。茎の伸びる早さの早い植物に注目して探して下さい。
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2010-04-12