質問者:
高校生
ひつじ
登録番号2169
登録日:2010-04-05
僕は小学生の頃から植物が好きで、今年高校生としてより詳しい植物の授業等を受けることが、いま大変楽しみです。最近、植物や動物の進化についての本を読んだのですが、そこである疑問が出てきてしまったので、ここで教えてもらえるとうれしいです。多細胞生物が本格的に現れる前から、光合成をできる生物として、シアノバクテリアがいたと本で読みました。それから何億年もたった今、大体の植物には気孔というものを使って、光合成をしていると聞きました。今のような気孔を手に入れるまでの、仮説や、わかっていることなどを教えてください。みんなのひろば
植物はいつ気孔を獲得したのか
質問の内容としては、
1、昔の植物の祖先はいつごろ、気孔を手に入れたのか。
2、初期の気孔は現在のものと変わりはないのか。
3、化石としては残っているのか。
なども教えてもらえると幸いです。
ひつじ さま
植物は太陽の光エネルギーを利用してCO2(二酸化炭素)を固定する光合成によって地球上のすべての有機化合物を合成してきました。石油、石炭のような有機物も全て過去の植物の光合成産物に由来しています。植物の光合成は一般的に次のように示すことができます。
CO2 + 2 H2A (CH2O) + H2O + A2
ご質問にありますシアノバクテリアは約20~25億年前に地球上に初めて現れたと考えられています。その後に進化してきた多くの藻類、さらに4.2億年前以降に陸上に現れた、維管束をもち、茎,枝、幹などをもつ全ての植物は、上の式でH2AがH2O(水)でありA2がO2(酸素)です。(CH2O)はここでは炭水化物で光合成産物を表しています。このようにシアノバクテリアが地球上で最初に酸素を発生する光合成生物であり、それ以後に進化してきた植物は全てシアノバクテリア型の光合成をしています。シアノバクテリアのような酸素を発生する藻が出現するまで、上の式でH2AがH2Oではなく有機酸や硫化水素(H2S)であり、酸素を発生しない光合成バクテリア(光合成細菌)ですが、これらの光合成生物は現在でもそれぞれの特殊な環境の中で光合成を続けています。
シアノバクテリアを含め、水の中に棲んでいる多くの種類の藻類、また、維管束植物でも水の中に棲んでいる沈水植物は気孔をもっていません。気孔をもっている植物は陸上に生えている維管束植物に限られています。気孔の役割は、(1)光合成過程に必要なCO2の吸収、(2)それと同時に発生するO2の排出、さらに、(3)根から吸収した水が蒸散作用によって気孔を通して気化するとき、気化熱によって葉の温度を調節するためです。空気中では水中に比べ温度変化が大きく、気孔によって蒸散を制御できなければ、葉の温度を適当な範囲にすることはできません。空気中に比べ水中の温度変化は、太陽光の照射を受けても大きく変動しないため、気孔によって温度調節をする必要が少なく、CO2, O2は拡散だけで水から吸収、水へ排出することができ、気孔を必要としないと考えられます。
ご質問の1)については上に述べたことが回答になりますが、興味のある2),3)のご質問については、気孔の化石資料がないため研究されていません。本質問コーナーで、気孔で回答を検索すれば、気孔について100近くの回答があり、いろんな面からの解説が見られますのでご覧下さい。
植物は太陽の光エネルギーを利用してCO2(二酸化炭素)を固定する光合成によって地球上のすべての有機化合物を合成してきました。石油、石炭のような有機物も全て過去の植物の光合成産物に由来しています。植物の光合成は一般的に次のように示すことができます。
CO2 + 2 H2A (CH2O) + H2O + A2
ご質問にありますシアノバクテリアは約20~25億年前に地球上に初めて現れたと考えられています。その後に進化してきた多くの藻類、さらに4.2億年前以降に陸上に現れた、維管束をもち、茎,枝、幹などをもつ全ての植物は、上の式でH2AがH2O(水)でありA2がO2(酸素)です。(CH2O)はここでは炭水化物で光合成産物を表しています。このようにシアノバクテリアが地球上で最初に酸素を発生する光合成生物であり、それ以後に進化してきた植物は全てシアノバクテリア型の光合成をしています。シアノバクテリアのような酸素を発生する藻が出現するまで、上の式でH2AがH2Oではなく有機酸や硫化水素(H2S)であり、酸素を発生しない光合成バクテリア(光合成細菌)ですが、これらの光合成生物は現在でもそれぞれの特殊な環境の中で光合成を続けています。
シアノバクテリアを含め、水の中に棲んでいる多くの種類の藻類、また、維管束植物でも水の中に棲んでいる沈水植物は気孔をもっていません。気孔をもっている植物は陸上に生えている維管束植物に限られています。気孔の役割は、(1)光合成過程に必要なCO2の吸収、(2)それと同時に発生するO2の排出、さらに、(3)根から吸収した水が蒸散作用によって気孔を通して気化するとき、気化熱によって葉の温度を調節するためです。空気中では水中に比べ温度変化が大きく、気孔によって蒸散を制御できなければ、葉の温度を適当な範囲にすることはできません。空気中に比べ水中の温度変化は、太陽光の照射を受けても大きく変動しないため、気孔によって温度調節をする必要が少なく、CO2, O2は拡散だけで水から吸収、水へ排出することができ、気孔を必要としないと考えられます。
ご質問の1)については上に述べたことが回答になりますが、興味のある2),3)のご質問については、気孔の化石資料がないため研究されていません。本質問コーナーで、気孔で回答を検索すれば、気孔について100近くの回答があり、いろんな面からの解説が見られますのでご覧下さい。
JSPPサイエンスアドバイザー
浅田 浩二
回答日:2010-04-13
浅田 浩二
回答日:2010-04-13