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常緑樹と落葉樹について

質問者:   その他   国徳大也
登録番号0217   登録日:2005-02-24
おせわになります。

「一般に1年以内で枯れてしまう葉をもち、寒気または乾燥期の前に一斉に落葉するものを落葉樹。1年以上生き続ける葉をもつものを常緑樹(木の見かた、楽しみかた、朝日選書 八田洋章著)」

笑われそうな質問ですが、日本に落葉樹(落葉性)と常緑樹(常緑性)が混在しているのは何故でしょう?

常緑樹といわれる木でも、少しずつ新旧交代しているのはわかります。
また、前回ここで教えてもらったのですが、コナラの場合など、離層形成が完全でないことも理由で、「落葉しない落葉樹」もあるようです。

離層形成が下手とか上手とか、葉がごわごわしている、やわらかいというだけではなさそうなので、疑問に思っています。
国徳 大也さま

 常緑樹と落葉樹の定義は,緑の葉が常にある(常緑樹)か,葉の無い時期がある(落葉樹)というものです。したがって樹木全体は通年緑色で常緑樹であるが,一枚の葉の寿命は1年よりも短い場合もあります。熱帯多雨林の常緑樹にはこのような例が多いようです。一方,日本の常緑樹の葉の寿命は1年以上の場合が多いようです。

「日本には常緑樹と落葉樹が混在している」というご指摘ですが,これは緯度や標高に依存します。低緯度から高緯度になるにつれて,タブ,シイ,アラカシ,シラカシなどの常緑広葉樹から,ブナやミズナラのような落葉広葉樹に移り変わります。また,もっと寒い地域ではエゾマツ,トドマツなどの常緑針葉樹が出てきます。どうしてこのようなパターンが出来るのでしょうか。葉を作り,維持するコストと,光合成による生産を考えてみますと,樹木は,葉の構築・維持にかかるコストあたりの生産を最大にするように葉の寿命を決めているようです。葉の光合成速度は若い頃は高いけれども,加齢にともなって低下します。したがって,適当な時期に葉を落として,新たなものと入れ替える必要があります。
 低緯度地方では,光合成に好適な季節が続くので,いったん作った葉の光合成の速度がやや低下するころまで着けておくのが有利ですが,光合成に不適当な季節(日本では冬,熱帯季節林では乾季)があると,その期間,葉は光合成はしないけれども呼吸や蒸散をするので損失が大きくなります。したがって,秋までは稼がせて,落葉する方が効率的になります。さらに光合成に不適当な季節が長くなると,春に着けた葉が秋口までに稼ぐ量がコストを下回るようになるので,元がとれるようになるまでの長い期間,葉を着けて稼がせるということになります。
 このように,低緯度の常緑樹と高緯度の常緑樹とでは,常緑の意味が異なっているようです。
大阪大学
 寺島 一郎
回答日:2009-07-03
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