一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

チェックリストに保存

タケの養・水分と光合成産物の転流について

質問者:   自営業   星の王子
登録番号2197   登録日:2010-05-13
いつも興味を持って勉強させてもらっています。先日ある本を読んでいましたら、タケには形成層が無いので、肥大生長をしない・・・と載っていました。従って心材化も表皮のコルク層もできない・・・と書いてありました。そこで疑問です。では、根で吸収した養・水分はどこを通って上部に運ばれ、光合成産物はどこを通って下部に転流されるのでしょうか?又、養・水分や光合成産物が運ばれる組織をタケの場合はなんと呼んでいるのでしょうか?宜しくお願いします。
星の王子 様

このコーナーに関心をお持ち下さり有り難うございます。
断面を見ていただくと良く分かりますが、タケといえども管束をもっており、根から葉への水分や無機養分などの輸送、葉から地下茎や根への養分などの輸送が行われています。

多くの植物の肥大期の根の管束には木部と篩部との間に形成分裂する「形成層」と呼ばれる組織があり、器官の内側に向かって木部要素を、外側に向かって篩部要素を新生しております。しかし、シダ植物や単子葉の多くの植物の管束では、ご指摘のように形成層がないため、肥大生長が見られません。でも、木部と篩部は上述のように普通に機能しております。
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2010-05-16