質問者:
高校生
イケシマ
登録番号2198
登録日:2010-05-13
私は今年3年生になり受験をしようとしている高校生です。私の学校では3年間の集大成とし「卒業研究」をしています。私の「卒業研究」のテーマは「ある野菜にその野菜から作った肥料を与えると成長がよいのではないのか?」というもので、私の仮説では「与える作物と同じ体を構成する成分を肥料が含んでいるから野菜は吸収するのが速く成長が良いのではないか」と思いました。実験方法としては栽培に時間のかからないハツカダイコンを栽培し、その収穫したハツカダイコンから液体肥料を作り、そしてその作った肥料を別のハツカダイコンに施肥して成長を調べるというものです。しかしこのことを自分の学校の農業科の先生に話したところその仮説を裏付けるようなデータや文献はあるのかと言われました。私はテーマを先に決めしまったためそういったものがなく、実験は困難なのではないかといわれてしましました。そこで質問なのですが、みんなのひろば
作物に使用する肥料について
①私の行おうとしている卒研に似ている実験や文献・データなどはあるのでしょうか?
②またハツカダイコンから液体肥料を作ろうと思っているのですが、油粕などを使わないで純粋なハツカダイコンの液体肥料は作れるのでしょうか?
この二つについてよろしくお願いします。
イケシマ 君
質問をありがとうございます。意欲的に「卒業研究」に取り組まれておられることに感心しました。
先ずは、この発想は“的を射たもの”と言えると私は思います。私は植物の栄養に関する研究の歴史に詳しくはありませんが、このような考えで過去にいろいろな試みがなされて来たのではないかと想像します。しかし、この仮説を実証する実験は簡単ではないように思えます。
ところで、ご存知のように、植物体は、水素、酸素、炭素に加えて、窒素、硫黄、リン等々の元素で構成されており、これらの元素が植物体内に取り込まれるためには硝酸イオン、リン酸イオン、硫酸イオン等々のような無機イオンの形であることが必要ですね。成分元素を吸収可能なイオンの形に変換するには、例えば、植物体全体を酸で分解し、中和して塩の形に変えることなどの方法が考えられます(焼いてできる灰を出発材料にするのも一案かと思います)。植物体に与える場合には、これらのイオン成分を根の近くに保持する工夫も必要になってくるかも知れませんね。
別の考えとして、有機物のままで植物に与え、吸収可能なイオンの形に変換するためには微生物などの助けをかりることがあります。しかし、この過程は複雑で、時間もかかりますね(自然では起きていることですが)。
そんな訳で、①に関しては、文献にはあまり期待されない方が良いと思います。②についての回答は上の文に含まれているものと了解して下さい。
この仮説の検証については、実施可能な実験方法を意識して、今少し考察を深められることをお勧めします。
質問をありがとうございます。意欲的に「卒業研究」に取り組まれておられることに感心しました。
先ずは、この発想は“的を射たもの”と言えると私は思います。私は植物の栄養に関する研究の歴史に詳しくはありませんが、このような考えで過去にいろいろな試みがなされて来たのではないかと想像します。しかし、この仮説を実証する実験は簡単ではないように思えます。
ところで、ご存知のように、植物体は、水素、酸素、炭素に加えて、窒素、硫黄、リン等々の元素で構成されており、これらの元素が植物体内に取り込まれるためには硝酸イオン、リン酸イオン、硫酸イオン等々のような無機イオンの形であることが必要ですね。成分元素を吸収可能なイオンの形に変換するには、例えば、植物体全体を酸で分解し、中和して塩の形に変えることなどの方法が考えられます(焼いてできる灰を出発材料にするのも一案かと思います)。植物体に与える場合には、これらのイオン成分を根の近くに保持する工夫も必要になってくるかも知れませんね。
別の考えとして、有機物のままで植物に与え、吸収可能なイオンの形に変換するためには微生物などの助けをかりることがあります。しかし、この過程は複雑で、時間もかかりますね(自然では起きていることですが)。
そんな訳で、①に関しては、文献にはあまり期待されない方が良いと思います。②についての回答は上の文に含まれているものと了解して下さい。
この仮説の検証については、実施可能な実験方法を意識して、今少し考察を深められることをお勧めします。
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2010-05-17
佐藤 公行
回答日:2010-05-17