一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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組織培養で3種のホルモンを使う時があるのはなぜでしょうか?

質問者:   教員   土橋敬一
登録番号2199   登録日:2010-05-17
キクの花弁培養や葉片培養で初代培養にBAとIAA、KINの3種の植物ホルモンを使うことを紹介されている本があります。「図解 組織培養入門」誠文堂新光社
オーキシンとサイトカイニンの2種を用いて培養すると思っていましたので、
なぜ前述の3種類を用いるのか?教えていただければと思います。
土橋様

みんなのひろばをご利用頂き、ありがとうございます。私、柿本辰男が回答させて頂きます。天然のオーキシンはインドール酢酸ですが、同様の作用を持つ化合物(2,4-DやNAA)は、ひとまとめにオーキシンと呼ばれます。サイトカイニンも化合物名ではなく、複数の物質の総称です。植物が持つ活性型のサイトカイニンとしては、トランスゼアチンとイソペンテニルアデニンが一般的ですが、植物が持たない人工のサイトカイニンには、BA(ベンジルアデニン)やKIN(カイネチン)などがあります。「BAとIAA、KINの3種の植物ホルモンを使うことを紹介されている」と書かれていますが、BAもKINもサイトカイニンですので、オーキシンとサイトカイニンだけを用いている事になります。なお、サイトカイニンとして2つ用いているのかは不明です。組織培養は、多分に経験的なところが多く、たまたま上手くいけば、そのプロトコールが使われる事が多いです。
日本植物生理学会 広報委員長
柿本 辰男
回答日:2010-05-23
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