一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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原形質流動が起こる条件

質問者:   高校生   m.p.
登録番号2212   登録日:2010-05-30
高校の生物の授業のレポートの研究課題として、原形質流動について調べています。原形質流動が起こる条件について、よくわからないことがあります。

オオカナダモは、光をあててから30分〜1時間で原形質流動が起こる、と高校の先生がおっしゃっていました。
原形質流動は、光合成と同時に行われるものなのでしょうか?
それとも何か条件があって、それを満たさないと起こらないものなのでしょうか?
ご回答よろしくお願いします。
m.p.さま

みんなのひろばへのご質問有り難うございました。頂いたご質問の回答を、原形質流動と光の関係について詳しい大阪大学の高木慎吾先生にお願い致しましたところ、以下のような詳しい回答をお寄せ下さいました。参考になると思います。勉強して下さい。


高木先生からのご回答

光によって原形質流動がひき起こされることは、いくつかの植物で知られています。オオカナダモはその代表選手ですね。オオカナダモの場合、原形質流動は光合成とは無関係に起こると考えられます。その根拠の1つは、原形質流動は青い光によってひき起こされるが、赤い光ではひき起こされないという実験結果です。すなわち、オオカナダモは光合成のために働く色素(クロロフィルです)以外に、青い光を受け取る色素を持っており、その色素の働きによって原形質流動がひき起こされると考えることができます。一方、我々が研究しているオオセキショウモ(ジャイアントバリスネリア)では、光合成と原形質流動とは密接に関連しています。したがって、光によって原形質流動がひき起こされる時、どのような色素が光を受け取って働いているのかは、植物によって違うのだと思われます。
次に、原形質流動が起こる条件についてですが、流動するための力の発生に働くタンパク質が細胞内できちんとした場所に並んでいなければならない、力の発生のエネルギー源であるATPが充分にないといけない、細胞質の粘性が低くないといけない、などが考えられます。光をあて始めてから原形質流動が起こるまでの間に、これらの条件をOKにするための様々なできごとが、細胞内で順々に起こっているわけです。
原形質流動という語句で質問コーナーの質問を検索し、それらに対する回答も参考にしてください。また、植物と光との関係については、下記の参考書があります。

植物まるかじり叢書2「植物は感じて生きている」瀧澤美奈子著、化学同人

高木 慎吾(大阪大学)
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2010-06-04
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