一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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光と葉数について

質問者:   高校生   たわし
登録番号2213   登録日:2010-05-30
 高校の植物バイオの実験で、光の強さの違いが植物体にどのような影響を与えるのか実験を行いました。対照区は蛍光灯で3000lux、その他はLED照射で20000lux、10000lux、5000luxで1ヶ月間、無菌の培養試験管内で生育しました。調査項目は草丈、葉数、節数で、材料はベニアズマです。
 結果、蛍光灯の3000luxがもっとも生育がよく、LED照射で生育した処理区は10000luxが次いで良い結果となりました。4処理区とも生育は良好だったのですが、蛍光灯区のみ葉数がほかの処理区と比べ平均2枚多い結果となりました、他の調査項目はそれほど差は見られなかったです。
 光度が高ければ高いほど良い結果が得られると考えて実験を行ったのですが、結果は逆でした。そこで質問なのですが光の強さで葉数は変化するのでしょうか?また、LEDと蛍光灯では植物が受ける光合成反応がどのように変わってくるのでしょうか?
たわし くん:

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
「光と葉数について」のご質問は光色と植物成長との関係をご研究の手塚修文先生に伺いました。
このような問題のときは、光の波長域、光量、温度などが重要な条件になります。特に異なった波長域(光色)の効果を調べ、比較するためには照射する光量を同じにしなければなりません。手塚先生は「質問者の照射された光条件(波長域、光強度など)が正確の記載されていないので、この回答は、光条件を想像・仮定したうえでの」と前置きされた上で次の回答をくださいました。

今関 英雅(JSPPサイエンスアドバイザー)

【手塚修文先生の回答】
質問内容から、蛍光灯は恐らく白色蛍光灯であろうと思われますが、これは(蛍光灯メーカにより少々は異なりますが)大体は紫外線(300〜400nm)および可視光線(400〜750nm)の波長域が照射されています。 一方、LEDには幾つかの波長を照射するものが市販されています。例えば、(1) white light, (2) red light, (3) blue light, (4) yellow light, (5) green light, (6) red and blue light, (7) red, blue and green lightを照射する7つがあります。そのため、LEDといっても上記の(1)〜(7)の波長を照射するものがあります。質問者がどのLEDを照射したのか不明ですが、もし(2)、(4)、(5)などを使用しておれば、その照射下のベニアズマの光合成は蛍光灯(白色光)照射下よりも劣ります。照射光度が高くても光合成が低いので成長は悪いと思います。もし、(1)、(3)、(6)、(7)を使用しておれば、光が強すぎるのでむしろ蛍光灯よりも悪い生長をしているものと思います。この種の実験において、一般には、LEDの白色光の光度は大体400W、他の波長のLEDは80〜110Wを照射して実験などがなされています。 つまり、質問者の使用しているLEDの照射エネルギーは蛍光灯に比べて相当に強いと判断されますので、蛍光灯下のベニアズマの生長が一番よいものと思われます。地表へ届いている太陽光中の波長域とその照射量の割合が自然状態であり、一番良い生長をするのですが、その割合がアンバランスであれば、強光度であっても却って生長が悪く(葉数が少なく)なり勝ちです。
名古屋文理大学
手塚 修文
回答日:2010-06-01
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