一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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種からの育て方

質問者:   会社員   KAMEKAME
登録番号2225   登録日:2010-06-21
先日、千葉に家族旅行に行った際においしいびわを買ってきました。食べ終わった後、息子が種から育ててみたいと言い出し、いろいろ聞いてみると何日か水に浸したほうが良いとか、少し切れ目を入れた方が良いとか、そのまま植えればよいなど、意見をいただきましたが、最善の方法があれば教えてください。
KAMEKAME様

「みんなのひろば」をご利用頂き、ありがとうございます。「みんなのひろば」では、植物の不思議に関する質問にお答えしています。今回の質問は、植物の不思議とはかけ離れております。植物生理学会的な発想でのお答えは、「いろいろな条件を試し、その結果から、植物の営みを考えてみましょう」です。しかし、興味深い関連知識をサイエンスアドバイザーの今関英雅先生から伺いましたので、その内容も含めて補足しておきましょう。

植物種によっては、種子はいつでも発芽できるのではなく、条件が揃った時にだけ発芽するものがあります。それぞれの植物の生存戦略です。例えば、低温にさらされなければ発芽能力を持たない植物や、種子が出来てからある程度の時間放置しなければ発芽しない植物、種皮に傷がつかないと発芽しない植物などがあります。これらの植物で、発芽できない状態を休眠状態にあるといいます。また、光を当てないと発芽しない種子もあります。しかし、ビワの種子の場合に休眠はなく、水さえあれば、発芽に特別な条件が必要という事はないようです。種皮に傷をつけて発芽が促進されるかどうかなどはKAMEKAMEさんがお試しになられれば良いと思います。単純に育てるということなら、ウエブサイトに栽培記録を見つけました(http://www.nina-kaz.com/fruit/loquat.html
 今関先生からは、次のような補足も頂きました。「美味しいビワの種子」を蒔いて出てきたビワの木には美味しいビワの実がなるとは限りません。「美味しい」ビワというのはほとんど交配雑種で育種されたものだからです。仮に自家受粉していても、次世代の種子の遺伝子型は親植物とは違っています。交配により美味しい果実を付けるビワの木が出来れば、接ぎ木などで増やすようです。また、ビワは低温に弱いので、日本では千葉県以北では栽培が困難なはずです。また、実生のビワが結実するには10年ほどかかるとされています。「桃栗三年、柿八年」の次は地方によって違うようですが「枇杷は九年でなりかねる」という言い方もあるようです。
広報委員長
柿本 辰男
回答日:2010-06-22
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