一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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パンジーの茎とヨモギの茎

質問者:   小学生   6年の理科研究員
登録番号2232   登録日:2010-06-25
 私は、学校で気孔について観察しています。疑問に思うことがあったため先生に(理科専門の先生)聞くとここのサイトを教えてもらいました。
今回私が知りたいのは、

1、気孔がある茎と、ない茎とがあること。ないのは、毛が生えている。
2、ないのは、どのように蒸散しているのか。                                            

です。

よろしくお願いします。 
6年の理科研究員殿

みんなのひろばへのご質問有り難うございました。茎の気孔に興味を持っているとのこと、ユニークですね。ご質問は短いのですが、沢山答えなければならないように思います。
気孔について。気孔は光合成をするためのものです。習ったと思いますが、光合成をするためには二酸化炭素を体内に取り込まなければなりません。気孔はそのためのものです。二酸化炭素を取り込むために気孔を開けると、体内の水が外に出て行ってしまいます。それが、蒸散です。植物は水を失いたくないので、蒸散はしたくないのです。二酸化炭素を取り込まなければならないので、いやいや蒸散をしているのです。
気孔の数。若い葉は、大きくなった葉から光合成で稼いだものを貰って、大きくなります。その間は光合成をしませんので、気孔はありません。大きくなって光合成をするようになって初めて気孔も出来てきます。茎の場合もそうだと思います。私は茎の気孔を観察したことがなかったので、ヨモギの茎の気孔を観察しました。多くはありませんでしたが、気孔はありました。6年の理科研究員殿は茎の若い部分を観察したのではないでしょうか。若い部分は茎の細胞を増やしたり、細胞を大きくしたりしている部分なので、気孔がなかった可能性があります。もう少し下の部分を観察なさったらいかがでしょう。
毛について。この質問コーナーの登録番号1090, 登録番号1742, 登録番号1993, 登録番号2010 にありますように、毛には蒸散を抑え、乾燥を防ぐ働きがあります。気孔の数をへらすことも、蒸散を抑え、乾燥を防ぐ効果があります。毛を多くすることと、気孔を減らすことは、同じ目的を持っていると云えます。ただ、登録番号1993 にあるように、毛には虫除けの働きもありますので、毛が多いことは乾燥予防のためだけとは云えません。
蒸散。すでに述べましたが、植物は出来ることなら蒸散はしたくないのです。光合成のための二酸化炭素を取り込むために、しかたなくしているのです。蒸散が出来ないことを心配しなくて良いのです。
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2010-07-01
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