一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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ツタの吸盤

質問者:   一般   くりちゃん
登録番号2247   登録日:2010-07-06
小学生から質問を受けましたが答えられませんでした。
ツタは木や石に吸盤状のもので貼り付いていますが、吸引してついているとは思えません。どのような方法ではりついているのでしょうか。
また、吸盤状のものから、根と同じ役割をして水分や、栄養分を吸収しているのでしょうか。
よろしくお願い致します。
くりちゃん 様

質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。質問の受けつけが遅くなってすみませんでした。下記のご質問にお答えいたします。

[回答]
ツタのようにいろいろな物に絡んで上に伸びていく植物をよじのぼり植物といいますが、植物が絡み付く方法にはさまざまな仕方があります。ツタの場合は葉の着いている所の反対側に枝別れした巻きひげができて、そのそれぞれの先端に円盤状の吸盤がつくられます。この円盤を、例えば建物の外壁等に吸着させて茎を固定しています。この吸着の力は吸引ではなくて、何か粘着性の物質を出して貼付けているようです。この吸盤には給水や養分の吸収の働きはありません。ツタの吸盤が分泌する粘液がなんであるかは分析されていませんが(あるいは私が知らないだけかもしれません)、最近、キヅタの茎が壁に張り付く時に使われる白い細い根毛のような根からは、茎でつくられて分泌される70nm(ナノメーター)の一様なナノ粒子が確認されました。その粒子は19種類もの有機化合物を含んでいるそうです。ツタの吸盤から分泌される粘液もそれに類する物かもしれませんね。
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2010-07-14