質問者:
大学生
あこ
登録番号2252
登録日:2010-07-12
太陽光の入る温室で春菊に赤と青の弱い光量のLEDを5月から24時間連続でそれぞれ照射しました。すると太陽光ばかりで育てた対照区より赤を照射した区、青を照射した区とも早く伸長しました。特に青色では生長が早く、すぐ大きくなりました。またどちらも対照区より約10日も早く花を咲かせました。ちょうど今咲いています。赤も青も光合成に必要な光のため生長を促進したと考えることができそうですが、そのため生育ステージが早く進んだので花芽が出来たと考えるには無理があるように思います。また短日植物である春菊に24時間照射しても花芽をつけたということは、長日条件を作ったように思えますが、それでも早く開花するということは青・赤は伸長を促進するほかに、花芽分化を促進する効果もあると考えるべきでしょうか。アドバイスをお願いします。
みんなのひろば
光の違いによる春菊の生長
あこ様
光受容の第一人者であります京都大学の長谷あきら先生に聞いてみました。まだ完全には解明されていないのだと思います。大学生ですので、さらにいろいろな研究者の意見を聞き、ご自身の研究を進めて新しい仮説を提唱されることをお祈り致します。なお、「みんなのひろば」では、一般的には、研究室に配属された大学生と大学院生の研究に関する質問は扱っておりません。なぜなら、研究室に所属しますと、研究室には指導教官がおられます。また、日本中の研究者が研究の仲間であり、先輩であります。これらの方に直接ご相談されることが、学生の方の発展につながると思うのです。
お問い合わせありがとうございます。質問の内容からは、実験の詳しいことは分からないのですが、大変興味深い結果ではあります。ただし、これまでの光受容体に関する知見からは外れた現象のように思えます。すでにそちらでもお考えのように、光周期的な観点からは、上記の実験はいわゆるday extensionの実験になると思います。従って、これは究極の長日条件にしたところ、短日植物で花芽が遅れるどころか、少し早まった、というのが今回の結果ということで良いかと思います。
なぜそのようなことが起こるのか、一つ考えられるのは、長日の効果は太陽光ですでに飽和しており、そこに上乗せする形で、フィトクロムやクリプトクロムの効果が出ている可能性です。青色光の受容体であるCRY2は花芽を促進しますので、そのような効果が現われたのかもしれません。一方、赤色光の効果については、モデル植物では花芽を遅らせる効果が知られていますので、今回のような効果はかなり予想外です。赤色光の効果がフィトクロムの効果だとすれば、それは複数回(例えば1時間おき)のパルス光で置き換えられるはずです。もし興味があればそのような実験をしても良いかもしれません。また、シロイヌナズナでは、花芽分化の促進・遅延について議論する際に、花芽がつくまでについた葉の数を比較するということがよく行なわれます。今回の実験でも葉の数を数えてみることをお進めします。なお、短日植物の光周性の分子メカニズムについてはイネで研究が進んでいますので(日本語の解説記事なども複数あるはずです)、そちらも参照ください。
長谷 あきら(京都大学大学院理学研究科生物科学専攻植物学系)
光受容の第一人者であります京都大学の長谷あきら先生に聞いてみました。まだ完全には解明されていないのだと思います。大学生ですので、さらにいろいろな研究者の意見を聞き、ご自身の研究を進めて新しい仮説を提唱されることをお祈り致します。なお、「みんなのひろば」では、一般的には、研究室に配属された大学生と大学院生の研究に関する質問は扱っておりません。なぜなら、研究室に所属しますと、研究室には指導教官がおられます。また、日本中の研究者が研究の仲間であり、先輩であります。これらの方に直接ご相談されることが、学生の方の発展につながると思うのです。
お問い合わせありがとうございます。質問の内容からは、実験の詳しいことは分からないのですが、大変興味深い結果ではあります。ただし、これまでの光受容体に関する知見からは外れた現象のように思えます。すでにそちらでもお考えのように、光周期的な観点からは、上記の実験はいわゆるday extensionの実験になると思います。従って、これは究極の長日条件にしたところ、短日植物で花芽が遅れるどころか、少し早まった、というのが今回の結果ということで良いかと思います。
なぜそのようなことが起こるのか、一つ考えられるのは、長日の効果は太陽光ですでに飽和しており、そこに上乗せする形で、フィトクロムやクリプトクロムの効果が出ている可能性です。青色光の受容体であるCRY2は花芽を促進しますので、そのような効果が現われたのかもしれません。一方、赤色光の効果については、モデル植物では花芽を遅らせる効果が知られていますので、今回のような効果はかなり予想外です。赤色光の効果がフィトクロムの効果だとすれば、それは複数回(例えば1時間おき)のパルス光で置き換えられるはずです。もし興味があればそのような実験をしても良いかもしれません。また、シロイヌナズナでは、花芽分化の促進・遅延について議論する際に、花芽がつくまでについた葉の数を比較するということがよく行なわれます。今回の実験でも葉の数を数えてみることをお進めします。なお、短日植物の光周性の分子メカニズムについてはイネで研究が進んでいますので(日本語の解説記事なども複数あるはずです)、そちらも参照ください。
長谷 あきら(京都大学大学院理学研究科生物科学専攻植物学系)
JSPP広報委員長
柿本 辰男
回答日:2010-07-26
柿本 辰男
回答日:2010-07-26