一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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クスノキの落葉

質問者:   一般   くりちゃん
登録番号2259   登録日:2010-07-30
5月から6月に落葉するクスノキについて質問させていただきます。
よく見ていると、長さ約10cmの枝と思われるものと。葉柄(約0.5〜1cm)のついた葉がいっしょに落ちています。
枝と思われるものには葉痕がいくつもつ いています。
この枝と思われるものは葉の一部なのでしょうか、そして離層があると考えてよいのでしょうか。
普通落葉というと葉柄のついた葉のみだと思うのですが、クスノキの場合、落ちている枝と思われるものは葉柄と考えてもよろしいのでしょうか。
宜しくお願い致します。
くりちゃん様

(2010-07-20の回答)
山を歩いていますと、葉をつけた枝が落ちているのをよく見かけます。ソヨゴでは葉だけでなく赤い実もつけた枝が落ちており、足下だけを見ながら登っていても気が付きます。そんな赤い実をつけた落ち枝を拾って帰り、小さな花瓶にさして楽しんだりしています。クスノキの場合、葉の付いた枝も、葉だけの場合も見た目にはあまり変わらないので、今までしっかりと見たことがありませんでした。そこで、改めて見に行ってきました。掃除の行き届いていないところを選んで、落ち枝を拾い観察しました。枝の基部に離層に相当する組織ができて、枝を落とす植物が報告されていますので、拾った枝の基部の形に注目しました。離層によって切り離されたものであれば、落ちている枝の基部は枝の根元の形をしている筈ですが、観察したものの大部分は、明らかに途中から折られた形をしていました。少し大きめの落ち枝では、縦方向に裂け目があり、いかにもへし折られたという形をしていました。クスノキの落ち枝は、離層のような組織によるのではなく、風や雨のような外部からの力によって枝が途中で折られたものと思います。


訂正)
登録番号2259のご質問にたいする回答を訂正させて下さい。
頂いたご質問に答えるため、大阪大学のキャンパスに葉の付いたまま落ちている枝を拾いに行き、拾って来た枝の基部が不規則な形をしていたことから、風などの力によって枝の途中から折られた物と判断し、そのように回答いたしました。

ところが、そのことを聞いた東京大学の塚谷裕一先生が東京大学のキャンパスに落ちていた葉のついた枝を送って下さいました。塚谷先生が送って下さった枝の基部は少し膨らんでおり、明らかに離層により落とされたことを示していました。くりちゃん様が見た葉のついたまま落ちた枝も基部が膨らんでいたのではないかと思い、もしそうでしたら離層により落とされた枝ですので、そのように訂正させて下さい。

JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2010-07-30
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