一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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夕顔はどうして夜さくのですか

質問者:   小学生   ジャスティー
登録番号2265   登録日:2010-07-24
夏の自然観測のテーマにスイカを選び植えました。みるみるまにカボチャの様な葉がいっぱいできカボチャかと思っていたら白い花が咲き実がなりました。調べたら夕顔というまでは、わかりました。不思議なことに、スイカも伸びて実ができています。スイカは1個だけですが直径20㎝くらいまでなっています。夕顔は、10個近く実は出来ています。大きさなど記録はとっていますし、雄花と雌花の数も数えています。気温と地中の温度も記録しています。日中の気温が高いと花が咲くのが遅いです。どうして、夜を感じて咲くのかがわかりません。教えて下さい。よろしくお願いします。
ジャスティーさん

質問コーナーへようこそ。歓迎致します。スイカの苗を買って植えたら、ユウガオの芽もでてきたのですね。スイカに限らず、ナス、トマトなどの野菜の苗には、近縁のより病害等に強い別の植物を台木にして接ぎ木したものがあります。スイカの場合はユウガオを台木に使います。ユウガオはスイカと同じウリ科の植物だからです。ユウガオの果実からはかんぴょうをつくります。(登録番号1734の質問と回答も見て下さい)。他方アサガオはヒルガオ科の植物で、アサガオとユウガオは、顔が朝と夕に違っているだけではなく、お互いに全く別の植物なのです。さて、花は植物にとってどんな意味があるかを考えてみましょう。私達は花を観賞しますが、花をつける植物自体は、花を咲かす事は子孫を残す事への大切な一歩なのです。花が開くと何がおきるかというと、めしべに花粉がついて(受粉)、受精が行われ、その結果種子ができあがります。種子から次の世代の植物ができてきます。だから、花が開いてちゃんと受粉ができるかどうかは、植物にとってとても大切なことなのです。受粉の仕方は植物の種類によってさまざまですが、そのなかで一般的な仕方は、昆虫によって花粉を運んでもらう事です。そのような花を虫媒花といいます。昆虫に花粉を運んでもらうために、花は形や色や匂いや開花の時期などで昆虫を誘うのにいろいろと工夫しているのです。ユウガオが夕方咲くのは、夕方暗くなって活動が盛んになる「ガ」が花粉を運んでくれるからです。ユウガオと同じような植物は、例えばカラスウリがそうです。寺田寅彦(テラダ トラヒコ)という昔の偉い物理学の先生は「からすうりの花と蛾」と言う随筆(ずいひつ)を書いています。ご両親に聞いてごらんなさい。どのようにして夜だと分かるのかというと、生物には体内時計という仕組みがあって、だいたい24時間単位でリズムができています。この時計がどういう条件のときにセットされるかでリズムがずれたりします。ユウガオは体内時計によって夜の時間を知っているのだと思います。体内時計のリズムは温度や光の影響でずれが起こりますので、気温高低で開花の時間もずれが起きる事になるでしょう。本質問コーナーの登録番号1065の質問に対する回答をぜひ読んで下さい。これはカラスウリの開花についての質問で、これをユウガオに置き換えて理解してみて下さい。その上で、もう一度実験を計画してみると、もっといろいろ新しい事が分かるかもしれませんよ。
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2010-07-26
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