質問者:
一般
ぐ
登録番号2271
登録日:2010-07-29
質問コーナーをいつも楽しく拝見しております。植物の中で一番大きな細胞は、どのぐらいの大きさになるのでしょうか?
先日、世界で一番大きな花が咲いたというニュースを見て、
大きさに関する疑問を思いつき、ここで質問をしている次第です。
学生の頃、動物細胞の中で、一番大きなものは卵細胞だと教わったように思います。
植物では、セコイア杉など高さが100mを超えるものもあり、動物よりとても大きくなりますが、1つの植物細胞で最も大きくなるものは、どのぐらいの大きさなのでしょうか。
また、その植物はどういったものなのでしょうか(ラフレシア・ショクダイオオコンニャクなど)?
ぐ様
みんなのひろばへのご質問ありがとうございました。回答が遅くなってしまいましたが、きっと楽しんで頂ける回答が出来たのではないかと思っています。ご質問は内容から二つに分けられると思います。個体の大きさと細胞の大きさとの関係に関する質問と、植物の細胞で一番大きいのは何かという質問です。
まず第一の質問ですが,ゾウとハツカネズミの比較から、体積でゾウはハツカネズミの125,000倍もあるのに、細胞(神経細胞)の大きさでは、約8倍くらいだと云うことから、個体の大きさは、細胞の大きさによるのではなく、細胞の数によるということが昔から云われて来ています。
この質問が、ぐさんがショクダイオオコンニャクのニュースを見たことによる質問だと云うことですので、やはりショクダイオオコンニャクに登場して貰わなければと云うことで、ショクダイオオコンニャクを咲かせた東京大学理学部付属植物園(小石川植物園)で植物の分化の研究をなさっておられる杉山宗隆先生にお願いして、ショクダイオオコンニャクと杉山先生が研究に使われているシロイヌナズナの比較をして頂きました。
シロイヌナズナの葉(葉身)の長さが 1.0〜2.0 センチメートルに対して、ショクダイオオコンニャクの葉(葉身)の長さは約2メートルでしたが、気孔の孔辺細胞の長さはシロイヌナズナの15 マイクロメーターに対して、ショクダイオオコンニャクでは約3倍の 40〜50 マイクロメーター、気孔以外の細胞の面積でも、シロイヌナズナの 500〜1000 平方マイクロメーターに対して、ショクダイオオコンニャクでは約2倍の 2,000 平方マイクロメーターだったそうです。この結果は、ショクダイオオコンニャクが大きいのは細胞が大きいからではなくて、細胞の数が多いからであることを示していると思います。
さて第二の質問です。まず身近なものから探して見ましょう。果実は開花して受粉した後、大きくなりますが、大きくなる間に細胞の数はほとんど増えません。細胞が大きくなることで果実が大きくなるのです。スイカの雌花を見たことがあるでしょうか、雌花の付け根についていた小さな丸いものが、大きなスイカになる間、細胞の数は増えないで、細胞が大きくなるだけなのです。スイカを食べる前に良く見て下さい。細胞が一つ一つが肉眼で見えるまでに大きくなっていることが分かるでしょう。身近なものではミカンやグレープフルーツの食べるところです。グレープフルーツだったら、細胞は長さ2 センチ、幅は太い所で 3 ミリくらいはあるでしょう。長さだけですとワタの毛は 5 センチくらいあります。陸上の植物では大きな細胞の集まりでは体を支えることが出来ません。しかし、水中に生活している藻類の仲間では体を支えることが陸上植物ほど必要ないので、大きなものがあります。核は分裂して増えるのですが、しきりが出来ず個体が多数の核を持った1個の細胞から出来ているようなものもあります。このような仲間の中でどんなものが大きいのかを山形大学におられた原 慶明先生に教えて頂きました。原先生によりますと、長さはナガミルと云う藻類で7メートルにもなるそうです。やはり藻類のオオバロニアはラグビーボールの様な形をしていますが、原先生のお採りになったもので、長径が 20 センチもあるものがあったそうです。動物細胞で一番大きいのはダチョウの卵だそうですが、オオバロニアにはかなわないのではないでしょうか。
みんなのひろばへのご質問ありがとうございました。回答が遅くなってしまいましたが、きっと楽しんで頂ける回答が出来たのではないかと思っています。ご質問は内容から二つに分けられると思います。個体の大きさと細胞の大きさとの関係に関する質問と、植物の細胞で一番大きいのは何かという質問です。
まず第一の質問ですが,ゾウとハツカネズミの比較から、体積でゾウはハツカネズミの125,000倍もあるのに、細胞(神経細胞)の大きさでは、約8倍くらいだと云うことから、個体の大きさは、細胞の大きさによるのではなく、細胞の数によるということが昔から云われて来ています。
この質問が、ぐさんがショクダイオオコンニャクのニュースを見たことによる質問だと云うことですので、やはりショクダイオオコンニャクに登場して貰わなければと云うことで、ショクダイオオコンニャクを咲かせた東京大学理学部付属植物園(小石川植物園)で植物の分化の研究をなさっておられる杉山宗隆先生にお願いして、ショクダイオオコンニャクと杉山先生が研究に使われているシロイヌナズナの比較をして頂きました。
シロイヌナズナの葉(葉身)の長さが 1.0〜2.0 センチメートルに対して、ショクダイオオコンニャクの葉(葉身)の長さは約2メートルでしたが、気孔の孔辺細胞の長さはシロイヌナズナの15 マイクロメーターに対して、ショクダイオオコンニャクでは約3倍の 40〜50 マイクロメーター、気孔以外の細胞の面積でも、シロイヌナズナの 500〜1000 平方マイクロメーターに対して、ショクダイオオコンニャクでは約2倍の 2,000 平方マイクロメーターだったそうです。この結果は、ショクダイオオコンニャクが大きいのは細胞が大きいからではなくて、細胞の数が多いからであることを示していると思います。
さて第二の質問です。まず身近なものから探して見ましょう。果実は開花して受粉した後、大きくなりますが、大きくなる間に細胞の数はほとんど増えません。細胞が大きくなることで果実が大きくなるのです。スイカの雌花を見たことがあるでしょうか、雌花の付け根についていた小さな丸いものが、大きなスイカになる間、細胞の数は増えないで、細胞が大きくなるだけなのです。スイカを食べる前に良く見て下さい。細胞が一つ一つが肉眼で見えるまでに大きくなっていることが分かるでしょう。身近なものではミカンやグレープフルーツの食べるところです。グレープフルーツだったら、細胞は長さ2 センチ、幅は太い所で 3 ミリくらいはあるでしょう。長さだけですとワタの毛は 5 センチくらいあります。陸上の植物では大きな細胞の集まりでは体を支えることが出来ません。しかし、水中に生活している藻類の仲間では体を支えることが陸上植物ほど必要ないので、大きなものがあります。核は分裂して増えるのですが、しきりが出来ず個体が多数の核を持った1個の細胞から出来ているようなものもあります。このような仲間の中でどんなものが大きいのかを山形大学におられた原 慶明先生に教えて頂きました。原先生によりますと、長さはナガミルと云う藻類で7メートルにもなるそうです。やはり藻類のオオバロニアはラグビーボールの様な形をしていますが、原先生のお採りになったもので、長径が 20 センチもあるものがあったそうです。動物細胞で一番大きいのはダチョウの卵だそうですが、オオバロニアにはかなわないのではないでしょうか。
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2010-08-04
柴岡 弘郎
回答日:2010-08-04