一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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コーヒーかすの阻害成分

質問者:   会社員   小池
登録番号2276   登録日:2010-08-09
以前、コーヒー飲料メーカーから出るコーヒーかすを堆肥がわりに4年くらい施用したら、果樹の新梢が伸びなくなった。という話を聞いたことが有るのでが、土壌に堆肥としてコーヒーかすを利用するには問題になるような、何か発育阻害成分の様なものが含まれているのでしょうか?
ご回答宜しくお願いします。
小池 さん:

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
コーヒーかすの利用に関してはさまざまな試みがなされており、堆肥化して施用することがもっとも適当なようです。堆肥化しないものには、ご質問にありましたように植物の生育を阻害する物質が含まれているようで、神奈川県環境農政局の報告にも記載されています。
http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/05/0519/kikaku/taihikamanual.pdf
に詳しくコーヒーかすの堆肥化に関する試験成績が記載されていますので参考にされてください。生育阻害物質の具体的な成分名は記載されていませんが、生豆には大量のポリフェノール物質(主にクロロゲン酸)とカフェイン、焙煎したものにはポリフェノール類の部分分解物や酸化重合したものなどが含まれています。これらは水溶性で、ある濃度以上になれば植物の生育阻害をおこすことが分かっています。コーヒーかすにはほとんどこれらの物質は含まれてはいませんが、少量はどうしても残留しておりそのまま継続して堆肥替わりに与えると生育阻害をおこす可能性はあります。他の可能性としては、コーヒーかすを大量に施用した場合土壌中で発酵が進行し、発酵中間生成物質などが生育阻害をおこすことも考えられます。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2010-08-10
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