一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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かいわれ大根の洗剤による成長のちがい

質問者:   中学生   あ
登録番号2281   登録日:2010-08-16
夏休みの自由研究で
かいわれ大根の成長が洗剤でどのように変化するのか
調べることにしました。

が、かいわれ大根の種がどこにも売ってなかったので
三つ葉の種でやりました。
まず、カップにティッシュをしいて
台所用の合成洗剤を10倍、100倍、1000倍に薄めたものと
無添加の台所用洗剤と、食洗器用の洗剤と、洗濯用の洗剤を
それぞれ100倍に薄めたものをしみこませて
種をまきました。
1日もたたないうちに種が割れて芽が出てきました。
このサイトで質問してる方はもっと時間がかかったようですが
ちゃんとした結果は取れるのでしょうか。
また、その実験が載っていた本では100倍のものも
成長が遅れているように書かれているんですが
そうでもないです。
発芽にはあまり差が出ないんでしょうか。
あと、何日やればいいんですか?
「あ」さん

「みんなのひろば」にようこそ。
研究において大切な事は、まず、その研究の目的をはっきりさせることです。「あ」さんの自由研究の目的は何でしょうか?種々の洗剤の植物に対する毒性の違いを調べることだと思います。
無添加の台所用洗剤と書かれていますが、何が無添加なのでしょうか?もちろん、洗剤成分が主成分であるので、洗剤成分以外という事になると思います。メーカーが、何を添加していないといっているのかは、ご自身で調べて下さい。実験としては、そのメーカーが無添加と言っている成分を添加している商品との比較ということになると思います。ただし、表示成分以外に関しては無添加というだけのことかもしれず、あまり意味がないかもしれません。また、同じ成分の洗剤であっても、濃い状態で商品にされているものと、薄い状態で商品にされている物があるだろうということも考えに入れておかなくてはいけませんね。また、衣料用の洗剤には、タンパク質や脂肪を分解する酵素なども含まれています。
洗剤とは何かを説明しましょう。一般に言う洗剤とは、油を落とす物ですね。洗剤の分子は、油に親和性がある部分と水に親和性がある部分から成り立っています。そのため、油分子と水分子の橋渡しをして、水と油を混ぜるのです。洗剤は、ある濃度以上(限界ミセル濃度)を超えると急に効力が増大します。その濃度は洗剤の種類によって違っています。動物も、植物も細胞からできていますが、細胞は細胞膜に包まれています(細胞膜までを含んで細胞と言います)。細胞膜の成分は水には溶けませんが、洗剤には溶けますの。そのため、どんな洗剤でも洗剤は細胞を殺します。ただ、例えば動物の皮膚は細胞が露出しているわけではなく、ケラチンなどで保護されていますので、洗剤で手を洗っても大丈夫なわけです。植物も、葉の表面はワックスなどで保護されていますが、水を吸収する根毛には保護層はほとんどありませんので、根毛から吸収された洗剤は植物体内に入りますし、根毛は洗剤にとても弱いです。
次に、洗剤が含まれていても発芽したとのことですが、洗剤が成長のどの段階に効きやすいかは、ご自身で調べてみて下さい。「何日やればいいのですか?」という質問に関しては、実際に同じ実験をしたことがある人でなければ答える事ができませんので、ご自身で試してみて下さい。
JSPP広報委員長
柿本 辰男
回答日:2010-08-18