質問者:
自営業
ぎょぴ
登録番号2284
登録日:2010-08-19
突然の質問で失礼します。亜硝酸ガス障害
土壌中の亜硝酸細菌が生成する亜硝酸態窒素が、低pH条件等で分解してNOxガス(主にNO,NO2でしょうか)が生成し、気孔等から植物体に侵入し、葉を白化させるという、亜硝酸ガス障害という現象を聞きました。
施設菊農家ですが、葉の白化がある時期にのみ見られることがあります。
そこで質問なのですが、NOxガスというのは、植物体に侵入した後、どのような振る舞いをして白化まで至るのでしょうか?
またこの現象は、光やオキシダティブバーストとは関係が無いのでしょうか?
植物生理学は本で一通り目を通しただけの素人です。
お手数をおかけいたしますが、ご回答宜しくお願いいたします。
ぎょぴ さま
ご質問の亜硝酸態窒素は、亜酸化窒素(nitrous acid, N2O)を指すものと考えられます。亜酸化窒素は、土壌に施用した、窒素肥料が植物に吸収される前に、その一部が土壌微生物によって酸化、または還元された場合に生じます。アンモニウム肥料(NH4+)の場合、これが酸化されて硝酸態(NO3-)になる中間体として生じ、また、硝酸態肥料(NO3-)の場合, これが還元され亜硝酸態(NO2-)、さらに、NO2-が還元されてN2Oが生成します。N2Oは常温では気体ですので、これによる植物の障害を防ぐためには、できるだけ換気をすることが必要でしょう(植物栄養・肥料の辞典,朝倉書店(2002), 参照)。
N2Oは恐らく葉に吸収された場合、酸化剤として作用し、葉の白化もたらすと考えられます。他の公害ガスと同様、光が葉の傷害を促進すると思われます。例えば、亜硫酸ガスによる植物の葉の傷害は、光照射の下で非常に顕著にみられます。この場合は光によって生ずる活性酸素が亜硫酸イオンの酸化連鎖反応を促進し、亜硫酸ガスによる葉の傷害を促進します。
亜酸化窒素(N2O)は, 農業生産に窒素肥料が多量に施用されるに伴い、地球大気に放出されその濃度が少しずつ増加しています。N2Oは地球温暖化をもたらす気体成分であり、この点からも窒素肥料が植物に充分に利用され、N2Oにならないように、窒素肥料の与え方を工夫することが大切です。
なお、NO(一酸化窒素)は動物に限らず、植物でも細胞内で生成し、細胞シグナル分子として機能しています。動物でNOはアルギニンから合成されますが、植物ではアルギニンからと共に、亜硝酸(NO2-)からも合成されます。これらの細胞シグナルとなるNOの合成は、当然のことですが、厳重な制御の下に進行しています。
ご質問の亜硝酸態窒素は、亜酸化窒素(nitrous acid, N2O)を指すものと考えられます。亜酸化窒素は、土壌に施用した、窒素肥料が植物に吸収される前に、その一部が土壌微生物によって酸化、または還元された場合に生じます。アンモニウム肥料(NH4+)の場合、これが酸化されて硝酸態(NO3-)になる中間体として生じ、また、硝酸態肥料(NO3-)の場合, これが還元され亜硝酸態(NO2-)、さらに、NO2-が還元されてN2Oが生成します。N2Oは常温では気体ですので、これによる植物の障害を防ぐためには、できるだけ換気をすることが必要でしょう(植物栄養・肥料の辞典,朝倉書店(2002), 参照)。
N2Oは恐らく葉に吸収された場合、酸化剤として作用し、葉の白化もたらすと考えられます。他の公害ガスと同様、光が葉の傷害を促進すると思われます。例えば、亜硫酸ガスによる植物の葉の傷害は、光照射の下で非常に顕著にみられます。この場合は光によって生ずる活性酸素が亜硫酸イオンの酸化連鎖反応を促進し、亜硫酸ガスによる葉の傷害を促進します。
亜酸化窒素(N2O)は, 農業生産に窒素肥料が多量に施用されるに伴い、地球大気に放出されその濃度が少しずつ増加しています。N2Oは地球温暖化をもたらす気体成分であり、この点からも窒素肥料が植物に充分に利用され、N2Oにならないように、窒素肥料の与え方を工夫することが大切です。
なお、NO(一酸化窒素)は動物に限らず、植物でも細胞内で生成し、細胞シグナル分子として機能しています。動物でNOはアルギニンから合成されますが、植物ではアルギニンからと共に、亜硝酸(NO2-)からも合成されます。これらの細胞シグナルとなるNOの合成は、当然のことですが、厳重な制御の下に進行しています。
JSPPサイエンスアドバイザー
浅田浩二
回答日:2010-08-30
浅田浩二
回答日:2010-08-30