質問者:
小学生
ちいた
登録番号2288
登録日:2010-08-26
1回めの質問みんなのひろば
植物の水が葉までとどくしくみ
2008年に『果実まで水を運ぶしくみ』を質問しました。
回答をもらってからいろいろな実験をしました。
うまくいかなかった実験で、どうしてうまくいかなかったか、
わからないものがあります。
浸透圧の実験で、濃い砂糖水とただの水を横に並べた実験は
うまくいきました。
濃い砂糖水を上にして、ただの水を下にした実験はうまくいきませんでした。
セロハンを貼ったプリンカップに砂糖水をいれて
さかさまにして水の入った洗面器に少し浮かせてつけました。
でも上の砂糖水は増えませんでした。
父に「カップの外の水とカップの中の砂糖水を同じ高さにしてみなさい」
といわれたので、やってみたら今度は少し砂糖水が水を吸いました。
理由は空気に押されるから、砂糖水が増えられなかったようです。
でも植物は高い木の上まで水を吸い上げます。
調べてみると 凝集力 という水の力で上まで上げているようですが
ストローの水は上まで上がらないのに
植物は水をずっと上まで吸い上げるのはなぜですか。
口が広いとそれだけ空気に押されて水が上に上がれないと
言われたのですが、木はプリンカップよりもずっと太いのに
もっと上まで水が上がります。
それに空気の重さよりも水のほうがもっと重いと思います。
それを持ち上げている力はなんですか。
調べてみても難しい説明ばかりで小学生にはわかりませんでした。
教えてください。
2回めの質問
植物が水を吸う仕組みが不思議でなんどか質問しています。
毛細管現象についてですが、植物の中の水が通る管はとても細いことはわかりました。水はくっつこうとする力があり、それで水が上に上がるのは難しいけれど、そういう力があることはわかりました。
では、植物の管と同じ太さのストローがあったとすると、水はストローの上まで何もしなくてもあがりますか。どこまでも上りますか。
蒸散の力がなければ、どこまでもはあがらないのですか。
それから、もし植物の水を通る管の途中に空気が入ってしまったら、水同士がくっつこうとする力は働かなくなりますよね。
そこからは水はあがれなくなりますか。
そういうとき、植物はどうするのですか。
1回めの回答
ちいたさん
「みんなのひろば」へのご質問、ありがとうございます。大変よく考えて実験しているようですね。深く考えるという事はとても大切な事です。回答は難しいかもしれませんが、読んでみてください。
浸透圧は非常に大きな力を発生します。17%の砂糖の場合、約12気圧、つまり、1平方センチあたり12kgです。ですので、水面の高さは、ほとんど関係ないと思います。浸透圧の力は非常に強いのですが、セロハンを通る水のスピードはあまり早くありません。砂糖水を入れたプリンカップにセロハンを貼って洗面器に浮かせた実験でも、水は大変大きな力で水は入って来ますが、入って来た水の「量」は少く、変化がわからなかったのではないかと思います。プリンカップの底に穴をあけ、ストローを通し、ストローとプリンカップの間に隙間が無いように入念に接着剤で固めてみて下さい。ストローは細いので、プリンカップの中の砂糖水の量が少し増えただけでストローの中を砂糖水が上がって来るのが見ることができると思います。
さて、樹木はどのようにして水を高い木の上に吸い上げているのでしょうか?コップの水にストローをさしてもそれだけでは水は上がって来ませんね。ストローの口から空気が押しているのではないかと考えたわけですね。確かに、ストローの水面を空気が押しています。1平方センチあたり1kgです。コップの表面も1平方センチあたり1kgも圧力で押されています。これらの力は常に釣り合いますので、水は上がりません。ストローが太くても細くても同じです。ストローの中の空気をうすくすれば(ストローを口で吸えば)水は上昇しますが、これは、コップの水の表面を押している空気の圧力よりも、ストローの中の圧力が小さくなくなるので、ストローの中を水が上昇するのです。
しかし、矛盾しているように思うかもしれませんが、実際にはもっと細い管を水にさせば、水は管の中を上昇します。細ければ細いほど高くまで上がります。このことは、中学や高校の理科をもってしても説明できません。これは中学や高校で習う理科が間違っているというわけではありません。管が細い場合、別の力が重要になるのです。水は大変小さな分子というものでできています。水の分子はお互いに引っ張り合っています。また、管の表面と水の分子も引っ張り合っています。管が細い方が、管の表面と接している水の「割合」が大きくなります。管の表面と水の分子の引っ張り合いで水が上昇するのです。これを毛管現象と言います。管の材質はプラスチックの場合より、水をはじかない材質(ガラス等)の方がさらに高く上がります。逆に言えば、管が太ければ、その割合が小さいので、水は自らの重みで落ちてしまうのです。木は太いですが、水が通る導管という管は大変細く、直径が0.1-0.01 mmくらいです。さらに、ところどころくびれて細くなっているところがあるので、毛管現象が起きやすいのです。その力を使い、葉で蒸発した分だけ水が上がってくるのです。導管は細いですが、非常にたくさんありますので、全体ではたくさんの水を流す事ができます。
(少し補足しますと、水を押し上げるもう一つの力があります。それは、根の浸透圧です。根の中の浸透圧は土壌の浸透圧よりも高いので、根に積極的に水が入って来ます。根の浸透圧の大きさは植物によって違っています。茎を切ったときに、液体がしみだして来る場合がありますが、そのような植物には根の浸透圧による力が働いています。)
ここに書いた事は、単純なようで、物理学をじっくり理解しないとわからないことです。でも、とても面白い疑問ですので、高校生、大学生になるまで、ずっと疑問を忘れないようにしておいて下さい。
2回めの回答
再びのご質問、ありがとうございました。納得いかない時は、どんどん質問するのは良いことです。
プラスチックは水と結合する力が弱いので、細くてもあまり上がらないと思います。導管(水が通る管)の内側の材質は水と仲が良い(ぬれやすい)、つまり水分子と引っ張り合うのです。また、導管は細い上に内側がでこぼこしており、水と接する面積が広いことも、毛細管現象を起きやすくしています。
また、私の説明不足でしたが、導管の先端は直接外に向かって開いているのではありません。まず、導管の細胞壁を通して葉の中の空洞に向かって水は蒸発します。その水は気孔をいう穴を通って外に出て行きます。そのため、導管には蒸散による力が働きます。ポンプで吸っているようなものです。ただ、どんな強力なポンプでも、ホースのように太ければ10メートル以上の高さはひけません。実際に10メートル以上の木はあります。実際には、この吸い上げる力、毛細管現象による上昇する力、浸透圧により根が水を吸い上げる力の総合で水が上昇するのです。
また、導管に空気が入ってしまえば水は上らなくなります。生け花をする時には、導管に空気が入らないように、水切りと言って、茎を水の中で切ってからすぐに花瓶に挿します。登録番号1974で書かれていますように、自然状態でも、水に溶けた空気が導管の中で泡となることがあります。しかし、導管はたくさんある上に、小さな穴を通して別の導管にもつながっていますので、普通は重大な問題にはならず、夜に温度が下がれば再び空気は水に溶けます。
柿本 辰男(JSPP広報委員長)
ちいたさん
「みんなのひろば」へのご質問、ありがとうございます。大変よく考えて実験しているようですね。深く考えるという事はとても大切な事です。回答は難しいかもしれませんが、読んでみてください。
浸透圧は非常に大きな力を発生します。17%の砂糖の場合、約12気圧、つまり、1平方センチあたり12kgです。ですので、水面の高さは、ほとんど関係ないと思います。浸透圧の力は非常に強いのですが、セロハンを通る水のスピードはあまり早くありません。砂糖水を入れたプリンカップにセロハンを貼って洗面器に浮かせた実験でも、水は大変大きな力で水は入って来ますが、入って来た水の「量」は少く、変化がわからなかったのではないかと思います。プリンカップの底に穴をあけ、ストローを通し、ストローとプリンカップの間に隙間が無いように入念に接着剤で固めてみて下さい。ストローは細いので、プリンカップの中の砂糖水の量が少し増えただけでストローの中を砂糖水が上がって来るのが見ることができると思います。
さて、樹木はどのようにして水を高い木の上に吸い上げているのでしょうか?コップの水にストローをさしてもそれだけでは水は上がって来ませんね。ストローの口から空気が押しているのではないかと考えたわけですね。確かに、ストローの水面を空気が押しています。1平方センチあたり1kgです。コップの表面も1平方センチあたり1kgも圧力で押されています。これらの力は常に釣り合いますので、水は上がりません。ストローが太くても細くても同じです。ストローの中の空気をうすくすれば(ストローを口で吸えば)水は上昇しますが、これは、コップの水の表面を押している空気の圧力よりも、ストローの中の圧力が小さくなくなるので、ストローの中を水が上昇するのです。
しかし、矛盾しているように思うかもしれませんが、実際にはもっと細い管を水にさせば、水は管の中を上昇します。細ければ細いほど高くまで上がります。このことは、中学や高校の理科をもってしても説明できません。これは中学や高校で習う理科が間違っているというわけではありません。管が細い場合、別の力が重要になるのです。水は大変小さな分子というものでできています。水の分子はお互いに引っ張り合っています。また、管の表面と水の分子も引っ張り合っています。管が細い方が、管の表面と接している水の「割合」が大きくなります。管の表面と水の分子の引っ張り合いで水が上昇するのです。これを毛管現象と言います。管の材質はプラスチックの場合より、水をはじかない材質(ガラス等)の方がさらに高く上がります。逆に言えば、管が太ければ、その割合が小さいので、水は自らの重みで落ちてしまうのです。木は太いですが、水が通る導管という管は大変細く、直径が0.1-0.01 mmくらいです。さらに、ところどころくびれて細くなっているところがあるので、毛管現象が起きやすいのです。その力を使い、葉で蒸発した分だけ水が上がってくるのです。導管は細いですが、非常にたくさんありますので、全体ではたくさんの水を流す事ができます。
(少し補足しますと、水を押し上げるもう一つの力があります。それは、根の浸透圧です。根の中の浸透圧は土壌の浸透圧よりも高いので、根に積極的に水が入って来ます。根の浸透圧の大きさは植物によって違っています。茎を切ったときに、液体がしみだして来る場合がありますが、そのような植物には根の浸透圧による力が働いています。)
ここに書いた事は、単純なようで、物理学をじっくり理解しないとわからないことです。でも、とても面白い疑問ですので、高校生、大学生になるまで、ずっと疑問を忘れないようにしておいて下さい。
2回めの回答
再びのご質問、ありがとうございました。納得いかない時は、どんどん質問するのは良いことです。
プラスチックは水と結合する力が弱いので、細くてもあまり上がらないと思います。導管(水が通る管)の内側の材質は水と仲が良い(ぬれやすい)、つまり水分子と引っ張り合うのです。また、導管は細い上に内側がでこぼこしており、水と接する面積が広いことも、毛細管現象を起きやすくしています。
また、私の説明不足でしたが、導管の先端は直接外に向かって開いているのではありません。まず、導管の細胞壁を通して葉の中の空洞に向かって水は蒸発します。その水は気孔をいう穴を通って外に出て行きます。そのため、導管には蒸散による力が働きます。ポンプで吸っているようなものです。ただ、どんな強力なポンプでも、ホースのように太ければ10メートル以上の高さはひけません。実際に10メートル以上の木はあります。実際には、この吸い上げる力、毛細管現象による上昇する力、浸透圧により根が水を吸い上げる力の総合で水が上昇するのです。
また、導管に空気が入ってしまえば水は上らなくなります。生け花をする時には、導管に空気が入らないように、水切りと言って、茎を水の中で切ってからすぐに花瓶に挿します。登録番号1974で書かれていますように、自然状態でも、水に溶けた空気が導管の中で泡となることがあります。しかし、導管はたくさんある上に、小さな穴を通して別の導管にもつながっていますので、普通は重大な問題にはならず、夜に温度が下がれば再び空気は水に溶けます。
柿本 辰男(JSPP広報委員長)
JSPP広報委員長
柿本 辰男
回答日:2012-07-20
柿本 辰男
回答日:2012-07-20