質問者:
大学院生
向井伸生
登録番号2294
登録日:2010-08-26
伐採後に野外に置いておいた竹が、一カ月程度後にはほとんど落葉してしまいました。みんなのひろば
竹の伐採後の落葉について。
この質問コーナーで落葉について調べたところ、通常の落葉では、葉の付け根に離層が形成されることで落葉がおこるようです。
つまり、落葉は生きている植物の生理的な作用ということです。
今回のように伐採後に葉が乾燥してから(植物が死んでから)の落葉は、離層形成ではなく、違ったメカニズムによるものなのでしょうか?
向井伸生 さま
みんなの広場へのご質問有り難うございました。
伐採後の竹で、葉が殆ど落葉してしまった理由として二つのことを考えました。
ご承知の通り、葉の脱離(落葉)は多くの場合、細胞壁分解酵素による分離層の細胞の細胞壁の分解によって起きますので、分解酵素の合成と分泌に必要なエネルギーと分解酵素の合成のための原料の供給が不可欠です。離層の細胞が生きていて、酵素合成と酵素の分泌に必要なエネルギーを供給しなければ、落葉は起きません。
第一の可能性は、伐採によっても離層の細胞はすぐに死なずにいて、上記の過程が進行したという考えです。離層の細胞は成熟の遅れた状態にあることが知られておりますので、他の組織での細胞が死んだ後も生きている可能性は十分に考えられます。秋に葉が枯れても、落葉せず、翌年の春に落葉する場合が知られていますが、離層の細胞は,冬の間死なずに生きており、春になって葉を落とすことが知られております。上記の通り、落葉はエネルギーを必要とする過程なので、酸素の供給が無いと起きません。伐採した竹を無酸素状態に置くと落葉が起きないかも知れません。
もう一つ可能性があります。離層の部分の細胞の細胞壁はリグニン化が進んでおらず、折れやすくなっているので、組織が乾燥し、膨圧が低下し、組織が収縮することでも脱離が起きます。私は、最初の可能性が高いと思っております。
みんなの広場へのご質問有り難うございました。
伐採後の竹で、葉が殆ど落葉してしまった理由として二つのことを考えました。
ご承知の通り、葉の脱離(落葉)は多くの場合、細胞壁分解酵素による分離層の細胞の細胞壁の分解によって起きますので、分解酵素の合成と分泌に必要なエネルギーと分解酵素の合成のための原料の供給が不可欠です。離層の細胞が生きていて、酵素合成と酵素の分泌に必要なエネルギーを供給しなければ、落葉は起きません。
第一の可能性は、伐採によっても離層の細胞はすぐに死なずにいて、上記の過程が進行したという考えです。離層の細胞は成熟の遅れた状態にあることが知られておりますので、他の組織での細胞が死んだ後も生きている可能性は十分に考えられます。秋に葉が枯れても、落葉せず、翌年の春に落葉する場合が知られていますが、離層の細胞は,冬の間死なずに生きており、春になって葉を落とすことが知られております。上記の通り、落葉はエネルギーを必要とする過程なので、酸素の供給が無いと起きません。伐採した竹を無酸素状態に置くと落葉が起きないかも知れません。
もう一つ可能性があります。離層の部分の細胞の細胞壁はリグニン化が進んでおらず、折れやすくなっているので、組織が乾燥し、膨圧が低下し、組織が収縮することでも脱離が起きます。私は、最初の可能性が高いと思っております。
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡弘郎
回答日:2010-09-13
柴岡弘郎
回答日:2010-09-13