質問者:
一般
風子
登録番号2300
登録日:2010-08-31
五年ほど前から育てていた(ときどき四葉が出ていた株)シロツメ草の一株が、去年の4月に花の間から角のようなとがった葉を出した花をたくさんつけました。不気味だっつたので、全部刈り取ると、次は、緑の花(額ばかりでできた花・極小のコスモスの花弁形です・・・・花弁を葉と勘違いしていたので、数えてみると、130枚ほどありました。・・・はっきりとしたハート形をした花弁が混ざったもの)が次々に6月の終わりころまで咲きました。葉の色と同じです。私なりにいろいろ調べてはみたのですが、よくわからないまま京大の荒木先生に写真を見ていただくことができ、「ホメオティック突然変異」の可能性があると言われ、この「みんなの広場」のことを教えていただきました。クローバーに関する今までの回答をすべて読ませていただき、とても参考になりました。ありがとうございます。みんなのひろば
シロツメグサがもしホメオティック突然変異としたらの育て方
去年のうちに増やしていたその株は、四葉は、どれからもよく出てきたのですが、白い花と緑の花をつける株に分かれました。そこで、5月に、庭を改良して緑の株を百株に増やし、離れた場所に白い花の株を植えました。緑の株から、ときどき角の生えたような花が咲くことがありますが、種になったところは見ていません。
植物は、突然変異であったとしても、ほとんどが3年後には元の姿になると聞いたことがあります。この株は、普通のクローバーの株よりも繁殖力が少し弱いようにも思います。これからも長く緑色でハートの花を咲かせ続けるためのアドバイスを教えていただけると嬉しいです。よろしくお願いします。
風子 さん:
みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
ご質問はこのような現象に造詣の深い塚谷裕一先生に回答をお願いしました。葉化病だとしますとかなり深刻なことになるかも知れません。今アジサイで問題になっている病気です。葉化病のことをよくお調べになり(葉化病をキーワードとするといろいろな情報が入手できます)適切な対処をお願いいたします。
風子さま
ご質問ありがとうございます。実は少し似たタイプの変異株が、近縁種のアカツメクサ(ムラサキツメクサ)から千葉県で見つかっており、木村陽子・岩槻秀明両氏によって2007年に、千葉県植物誌資料23号にて「セキヤドムラサキツメクサ」という仮称で報告されています。これは萼裂片が10枚あり、正常な5枚の場合の倍になっていて、花弁が萼片化したものと解釈できる品種です。たまたま発見者の方が私に連絡をくださり、実物を解剖してみたところ、花弁が萼片化している上に、雄蘂も雌蘂化していて、明らかにホメオティック変異だと思われたので、その旨回答し、上記報告で引用していただいた経緯があります。今回発見された個体は、花が葉の集まりになったということなので、ちょっと気になる点がありますが、現象としてはホメオティックな変換をしたもののようです。
ただ、1点気になる点があります。それは、最初は白い花びらがあったのに、刈り込んだ後から咲いたものは葉ばかりになった、という点です。遺伝子による突然変異であれば、これほどの大きな変化が、刈り込みだけで全体に広がるというのは解せません。実は最近、1973年以降、シロツメクサについては、日本でも葉化病(ようかびょう)という病気が広がりだしています。これはファイトプラズマ性の病気で、気温が高いほど症状が激しくなる特徴があります。白い花がいきなり葉に変化したという変換の飛躍、それと症状が変化したところから見ると、突然変異ではなく、この病気の可能性が高いように思います。もしそうだとしますと、株の勢いが悪いのも説明が付きます。病気だとしますとたいへん残念ですが、蔓延を防ぐために、焼却処分しないといけないかもしれません。
なお本当の、遺伝子の突然変異体であれば、「3年後には元の姿になる」というようなことはありません。ちゃんと遺伝し、増やすことができます。今、庭を彩っているさまざまな園芸植物のあの鮮やかな姿は、全て、そういう性質を利用して、原種から突然変異の積み重ねを経て作られたものなわけです。
塚谷 裕一(東京大学大学院理学系研究科・教授)
みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
ご質問はこのような現象に造詣の深い塚谷裕一先生に回答をお願いしました。葉化病だとしますとかなり深刻なことになるかも知れません。今アジサイで問題になっている病気です。葉化病のことをよくお調べになり(葉化病をキーワードとするといろいろな情報が入手できます)適切な対処をお願いいたします。
風子さま
ご質問ありがとうございます。実は少し似たタイプの変異株が、近縁種のアカツメクサ(ムラサキツメクサ)から千葉県で見つかっており、木村陽子・岩槻秀明両氏によって2007年に、千葉県植物誌資料23号にて「セキヤドムラサキツメクサ」という仮称で報告されています。これは萼裂片が10枚あり、正常な5枚の場合の倍になっていて、花弁が萼片化したものと解釈できる品種です。たまたま発見者の方が私に連絡をくださり、実物を解剖してみたところ、花弁が萼片化している上に、雄蘂も雌蘂化していて、明らかにホメオティック変異だと思われたので、その旨回答し、上記報告で引用していただいた経緯があります。今回発見された個体は、花が葉の集まりになったということなので、ちょっと気になる点がありますが、現象としてはホメオティックな変換をしたもののようです。
ただ、1点気になる点があります。それは、最初は白い花びらがあったのに、刈り込んだ後から咲いたものは葉ばかりになった、という点です。遺伝子による突然変異であれば、これほどの大きな変化が、刈り込みだけで全体に広がるというのは解せません。実は最近、1973年以降、シロツメクサについては、日本でも葉化病(ようかびょう)という病気が広がりだしています。これはファイトプラズマ性の病気で、気温が高いほど症状が激しくなる特徴があります。白い花がいきなり葉に変化したという変換の飛躍、それと症状が変化したところから見ると、突然変異ではなく、この病気の可能性が高いように思います。もしそうだとしますと、株の勢いが悪いのも説明が付きます。病気だとしますとたいへん残念ですが、蔓延を防ぐために、焼却処分しないといけないかもしれません。
なお本当の、遺伝子の突然変異体であれば、「3年後には元の姿になる」というようなことはありません。ちゃんと遺伝し、増やすことができます。今、庭を彩っているさまざまな園芸植物のあの鮮やかな姿は、全て、そういう性質を利用して、原種から突然変異の積み重ねを経て作られたものなわけです。
塚谷 裕一(東京大学大学院理学系研究科・教授)
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2010-09-01
今関 英雅
回答日:2010-09-01