一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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出芽

質問者:   教員   へろ
登録番号2307   登録日:2010-09-15
1.出芽で増える生物(単細胞)のなかには、1個体からの出芽の数が複数になる事がありますが、この時、核はどのように分裂して各分生子に入っていくのでしょうか。出芽が単数の場合についても、体細胞分裂のようには行かないと思いますが、どのようにしているのか教えてください。

2.また、通常の分裂と、出芽によるものは、どちらが先に生まれたのかわかりませんが、出芽による増殖の利点はなんでしょうか。
へろ 様

質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。ご専門が生物で教員をしておられるということですので、どの程度専門的に詳しい回答を望んでおられるのか分かりませんが、ここでは、一般的な観点から説明いたします。回答にあたって、日本女子大学バイオイメージングセンターの大隅正子先生にもお話もうかがいました。


1 出芽で増える生物はいくつかありますが、単細胞の代表的な例として、出芽酵母をとりあげてみます。酵母は単細胞ですが、れっきとした真核生物です。したがって有糸分裂をおこないます。出芽酵母では、まず細胞の表面から膨らみができて、芽が形成されます。一方細胞内では通常の核分裂がおこってニ核となります。そして拡大した芽の中に一つの核が移動します。そのあと、芽と親の菌体との間は閉じて、ふつうならば芽は切り離されます。しかし、時にはくっついたままで、新しい芽ができることがあります。この場合も親細胞で核分裂がおき、一つの核が移動します。なお、出芽する場所は決まっています。二つの芽が同時にできることはありません。
また、ある場合には出芽は起こっても核分裂がなくて、核が移動しないまま、小さい芽で止まってしまう場合もあるようですが、これは異常とみなされます。

2 普通の分裂というのは、酵母の場合だと分裂酵母のような場合を指しているのかとおもいます。分裂酵母と出芽酵母は10億年以上前に分岐したといわれ、両者はとてもかけ離れた存在です。分岐後出芽酵母はより早い速度で進化したといわれています。出芽による増殖のメリットはおそらく、増殖の速度が速いということではないかと思います。

なお、出芽酵母と分裂酵母については詳細なことがWEB上でみられますので、関連項目で検索してみて下さい。

JSPPサイエンスアドバイザー
勝見  允行
回答日:2010-09-17
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