一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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コスモスの花の色

質問者:   高校生   弦
登録番号2319   登録日:2010-10-07
去年はコスモスの花粉管伸長の研究をしました。今年もしようとしたら、今年は花の色が去年と違うものがあることに気づきました。
去年は、薄いピンクと白が混じった株が2株しかなかったのに、今年は3種類の組み合わせがありました。
コスモスの色はどうやって決まるのでしょうか?
ちなみに今年の花の色は
白6,うすいピンク29,濃いピンク10,
白とうすいピンク6,うすいピンクとこいピンク1,白とこいピンク3
色が混じったものは、濃い色が花の縁取りをするような出方をしているものと花びらの外側から花の中央に向かって色が入るものと2種類あるように見えました。
弦 さん

質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。植物、特に園芸植物の花の色は単一の遺伝子で決まる訳ではなく、複数の遺伝子が関わっています。それぞれ、色素の合成経路に関係する遺伝子です。コスモスではアントシアニンが色素として関与していますが、アントシアニンはおおまかに、アミノ酸の一つであるフェニルアラニンに始まって、トランスシナモン酸(桂皮酸)からその誘導体を経てフラボノイドという一連の化合物がつられます。この過程の最後の産物はロイコアントシアニンとよばれ無色です。これが次の反応過程でアントシアニジンそして最終的にアントシアニンができます。

コスモスではこの合成過程の三カ所をそれぞれ調節している遺伝子、C、I および Spがしられています。コスモスの花の色は原則的にこれらの三つの遺伝子の組み合わせで説明できるそうです。しかし、これらの遺伝子の発現を制御する複数の別の遺伝子の存在も分かっています。仮にこれらの三つの遺伝子に限るとして、それぞれに劣性の対立遺伝子がある訳ですから、CC,II,SpSp ; Cc, II, SpSp ; - - - とその組み合わせはいくつになりますか。計算してみてください。複雑な花の色合いはこれら遺伝子の組み合わせと発現の程度によって決まります。育てておられるコスモスの遺伝的背景が分かりませんので、これらの間で交雑が行われた結果できた種子から、何色の花がどのくらいの株数生じるのかは全く予想もつかないでしょう。斑入りや模様のある花ができた場合は、トランスポゾン(動く遺伝子)の関与が考えられます。本質問コーナーで「トランスポゾン」と言う項目で検索して下さい。花の模様との関係が説明されています。
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見  允行
回答日:2010-10-14
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