一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

チェックリストに保存

ひまわりの向き

質問者:   中学生   りゅう
登録番号2325   登録日:2010-10-17
日中のひまわりの動きの仕組みは今までの質問でわかったのですが、夕方から朝にかけての動きがよくわかりません。本を読むと夕方西を向いたひまわりは、夜間に重力を受けて上に向き、翌朝にまた東を向くと書かれてありました。光が当たるので朝、東に向くのはわかりますが、「重力を受けて上を向く」という意味がわかりません。わかりやすく教えてください。
りゅう 様

みんなのひろばへのご質問有り難うございました。ヒマワリの一日の運動について、りゅう君が読まれた本に書かれていたことは、正確ではないので、まずそのことから始めます。

ヒマワリの運動は草丈10センチくらいのものと、1メートル以上のものとではかなり違います。10センチくらいの若いヒマワリの場合、正午頃真上を向いていたヒマワリの先端は太陽の動きに連れて西へと曲がって行き、さらに太陽が当たらなくなった後も西へと傾きを深めて行きます。その後、真上に向かって立ち上がってきますが、そこで立ち止まらず、真っ暗な中、東へと傾いて行きます。東へ向いた角度が一番大きいのは午前時0時頃です。東を向いたヒマワリは暗いうちに真上に向かって行き、その頃ようやく太陽が当たるようになり、それから後は太陽につれて動きます。

1メートル以上の物ですと動きはもっと複雑です。日が当たらなくなった後、2時間くらい西に曲がることとか、その後真上を通り越して、東を向くことまでは同じですが、早さが違います。午後10時くらいに既に東を向いています。また真上に向かい、午前0時には真上、または真上近くに戻っています。さらにまた東へ向かいます。一番東へ向いているのは午前3時頃です。まだ日は出ていません。ヒマワリは真上に向かって起き上がって行き,そこでようやく日の出です。それからは太陽に従う運動になります。

10センチくらいのヒマワリと1メートル以上のヒマワリの運動で最も違うところは、雨や曇りの日の運動です。10センチくらいヒマワリは雨や曇りの日には動きませんが、1メートル以上のヒマワリでは晴れの日と同じように動きます。生長して行く間、毎日、運動を繰り返しているうちに動くことがクセのように身に付いてしまったようです。クセがついていることは大きな植木鉢に植えて大きくしたヒマワリを鉢ごと持ち上げて、水平に180°回転させてやるとわかります。太陽は東から西へと動くのに、ヒマワリの先端は西から東へと動きます。この太陽に逆らう運動は数日間続きます。1メートル以上のヒマワリでも大きな葉を取り除いてしまうと雨や曇りの日には動かなくなりますし、毎日の運動も若いヒマワリのようになりますので、クセは大きな葉についており、大きくなったヒマワリの複雑な運動にもクセが関係していると思われますが、クセの実体は分かっていません。りゅう君の質問は夕方西を向いていたヒマワリが真上に向って動くことでしたね。まだ学校で習っていないのでしょうか、植物の地上部は重力に逆らって伸びる性質(負の屈地性)、地下部は重力の方向に伸びる性質(正の屈地性)を持っています。西に曲がっていたヒマワリの茎の先端が真上方向に戻るのは負の屈地性によるものです。屈地性については詳しい説明が登録番号0080にあります。少しむずかしいかも知れませんが、登録番号1143も参考にして下さい。

JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡弘郎
回答日:2010-10-21