質問者:
教員
秋田のまりも
登録番号2344
登録日:2010-11-11
ニンジンはなぜ根にカロテンを蓄積しているのでしょうか。課題研究として、ニンジンの組織培養をやったときに生徒たちから出た質問です。他にも光合成色素であるカロテンは根には必要ないのではないのか、根におけるカロテンの役割はいったい何なのかという質問が出ました。
カロテン
秋田のまりも さま
ご質問のカロテンはカロチン、カロテノイド(カロチノイド)ともよばれています。カロテンは、基本的に8個のイソプレノイド(C5単位)から構成され、C40H56を基本構造としています。植物には、二重結合の数、位置が異なる酸素を含まないカロテンと、酸素をもつ水酸基、カルボニル基、エポキシ基、メトキシ基などの位置や数の異なるカロテン(キサントフィールと総称)も多種類含まれています。これらを合わせると現在までに植物には数百種類のカロテンが見いだされています。
陸上植物の葉で、葉緑体でチラコイド膜に結合しているカロテンであるベーターカロテンは、光合成でクロロフィールと共に太陽光エネルギーを捕捉する機能と、さらに、光によって葉緑体でどうしても生ずる活性酸素(特に一重項酸素)を消去し、葉緑体が太陽光によって“日焼け”をしないようにする二つの重要な役割をもっています。ベーターカロテンはこの様に光合成過程そのものに関与しているため、このカロテンを充分に合成できない植物は、光合成効率が低く、また、少し光強度が高くなると活性酸素を消去できないため枯死しやすくなります。ベーターカロテンは水に溶けず、膜に結合していますが、葉緑体には水に溶けやすいキサントフィール(ビオラキサンチン、アンテラキサンチン、ゼアキサンチン)も含まれ、これは過剰の光エネルギーを消去するのに働き、間接的に活性酸素ができないようにする機能をもっています。
ベーターカロテンは葉緑体の光合成にとって必須のカロテンですが、ご質問にありますよう、光合成をしない器官であるニンジンの根にもベーターカロテンが含まれています。トマトの赤い色素であるリコピン、緑葉に多い黄色のルテインもカロテンですが、これら光合成をしない根、果実などのカロテンは、これらの組織でも呼吸などで活性酸素が生ずるために、これの組織の細胞が活性酸素で傷害を受けないようにする機能をもっていると考えられます。
ご質問のカロテンはカロチン、カロテノイド(カロチノイド)ともよばれています。カロテンは、基本的に8個のイソプレノイド(C5単位)から構成され、C40H56を基本構造としています。植物には、二重結合の数、位置が異なる酸素を含まないカロテンと、酸素をもつ水酸基、カルボニル基、エポキシ基、メトキシ基などの位置や数の異なるカロテン(キサントフィールと総称)も多種類含まれています。これらを合わせると現在までに植物には数百種類のカロテンが見いだされています。
陸上植物の葉で、葉緑体でチラコイド膜に結合しているカロテンであるベーターカロテンは、光合成でクロロフィールと共に太陽光エネルギーを捕捉する機能と、さらに、光によって葉緑体でどうしても生ずる活性酸素(特に一重項酸素)を消去し、葉緑体が太陽光によって“日焼け”をしないようにする二つの重要な役割をもっています。ベーターカロテンはこの様に光合成過程そのものに関与しているため、このカロテンを充分に合成できない植物は、光合成効率が低く、また、少し光強度が高くなると活性酸素を消去できないため枯死しやすくなります。ベーターカロテンは水に溶けず、膜に結合していますが、葉緑体には水に溶けやすいキサントフィール(ビオラキサンチン、アンテラキサンチン、ゼアキサンチン)も含まれ、これは過剰の光エネルギーを消去するのに働き、間接的に活性酸素ができないようにする機能をもっています。
ベーターカロテンは葉緑体の光合成にとって必須のカロテンですが、ご質問にありますよう、光合成をしない器官であるニンジンの根にもベーターカロテンが含まれています。トマトの赤い色素であるリコピン、緑葉に多い黄色のルテインもカロテンですが、これら光合成をしない根、果実などのカロテンは、これらの組織でも呼吸などで活性酸素が生ずるために、これの組織の細胞が活性酸素で傷害を受けないようにする機能をもっていると考えられます。
JSPPサイエンスアドバイザー
浅田 浩二
回答日:2010-11-17
浅田 浩二
回答日:2010-11-17