一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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挿し木苗と実生苗の寿命について

質問者:   自営業   星の王子
登録番号2348   登録日:2010-11-19
以前、同業者に、挿し木苗より実生苗の方が根張りが良く、寿命も長い・・・と言うような話を聞きました。その時はそのまま終わったのですが、最近になって、どうしてなのかその理論が知りたくなりました。教えて頂ければ幸いです。また、そのような研究論文が載った冊子があれば教えてください。宜しくお願いします。
星の王子 さん:

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
主に林業関係の中で話題になるもののようです。実生苗と挿し木苗では初期成長に差があることが観察されていますが、実生は種子の栄養分を利用して生育するのに対し、挿し木苗では切り枝に蓄えられている栄養分で発根し生育するため、発根と根の生育に時間的差があります。そのため初期成長では実生苗の方が良好とされています。また、植林(移植)後の活着にも微妙な差があるようですが樹種、環境条件によって大きく異なるので一般的な傾向ははっきりしません。樹木の「寿命」も環境条件で大きく異なります。温暖な地域や積雪地帯、強風地帯、植林地の傾斜、日照条件、などなどが樹木の「寿命」に大きく影響します。挿し木苗は遺伝子組成が同じクローンですが、実生苗は比較する挿し木苗と必ずしも遺伝子組成が同一とは限りません。そのため長期にわたる生育を単純に比較することはとても困難なことで研究も実験的規模での比較観察に限られています。
スギとオオバアサガラ、アセビの植林に関して次のような研究成果がありました。ご参考になると思います。

http://ci.nii.ac.jp/els/110006882898.pdf?id=ART0008805540&type=pdf&lang=jp&host=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1290389885&cp=

http://ci.nii.ac.jp/els/110002840028.pdf?id=ART0003192970&type=pdf&lang=jp&host=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1290393077&cp=
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2010-11-22
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