一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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かぼちゃについて

質問者:   教員   b
登録番号2349   登録日:2010-11-19
ある問題集には、かぼちゃの花が合弁花類が答えになっていましたが、資料集によって、かぼちゃの花の分類が合弁花類と表記のあるものと離弁花類の表記のあるものと、両方の表記があり、どちらが正しいのわかりません。現在、どちらに分類されるのか教えていただきたく質問しました。すいませんが、よろしくお願いします。
b様

質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。
分類には絶対的な基準があるわけでなく、分類学者がある基準体系に従って行いますので、どの体系をとるかで違いがでてきます。今まで一般的に採用されてきた体系は1892年にドイツのエングラーという植物学者が提案したものですが、その特徴は花の構造に注目していることです。双子葉植物の合弁花・離弁花という分け方はエングラーの体系に基づくものです。カボチャはウリ科の植物ですが、ウリ科の花は5つの花弁が基部で合着していることから、その点を重視して、同じような花を持つキキョウ科の植物に近いと考え、ウリ科を合弁花類のキキョウ目の中に分類しました。しかし、1964年同じくドイツの分類学者であるメルヒオール達がエングラーの体系を修正し、[新エングラー体系」と呼ばれる分類体系を提唱しました。この体系では、ウリ科の花の構造の中で、花弁の合着という特徴よりは、子房壁に胚珠がつく「側膜胎座」であることと、植物体がつる性の草本植物であることに注目し、同じ共通点を持つスミレ目のトケイソウ科の植物に近いとみなし、ウリ目ウリ科として離弁花類の中に位置付けたのです。したがって、参考にされた図鑑がどの体系に沿っているのかで違いがあるのです。 ちなみに、分類学者のあいだでは現在DNA解析の結果を踏まえて既存の分類体系の見直しが進んでいるようです。合弁花とか離弁花という花の構造での分類はされなくなるかもしれません。1998年以降、欧米の学者が中心になって「被子植物系統分類グループ(Angiosperm Phylogeny Group, APG) を結成して作業を進めているそうです。それによると、ウリ目の中にはドクウツギ科、ウリ科、シュウカイドウ科が含まれています。新しい分類体系のことは「高等植物分類表」巴田 仁・米倉浩司著(北隆館2009)を参考にして下さい。
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2010-11-22
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