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草本植物の産毛? の役割

質問者:   高校生   粟津光
登録番号2383   登録日:2011-01-18
ある植物もない植物もあるが、よく観察しると認められる、葉 花 茎表面の微小な毛というのは、正式には何という名称で、どんな役割をしているのですか。
また、どのような植物に特徴的に見られるのですか。

ネットで調べても、名前が分からないので調べ様がありませんでした
栗津光 さん

みんなのひろば質問コーナーをご利用頂き、ありがとうございます。歓迎です。細かい毛が多くの植物の葉にも茎にも花にもあるということ、良く気付きましたね!これはトライコーム(trichome)というものです。trichomeにはギリシャ語でgrowth of hairという意味があります。毛状突起と訳されますが、トライコームとカタカナで書かれる事も多いです。植物の表皮細胞が伸びたもので、植物種によって単細胞のものも、多細胞のものもあり、随分長いものから、とても短い棘のようなものまで様々です。長い物としては、ワタの種皮のトライコームが綿です。トライコームの役割は、それぞれのトライコームによって違っていますが、強い光に対する防御、強風時に気孔から過度に水分を失う事を防止する役割、小さな害虫が葉の本体に近づきにくくする役割などが言われています。さらに、多くの植物で、トライコームは特殊な物質を貯めています。たとえば、バジル、ミント、タイム等ハーブの匂い物質はトライコームに貯められており、害虫を予防しています。トマトのトライコームにも害虫を寄せ付けない成分が入っているようで、トライコームに異常があるトマトの突然変異体は害虫に食われやすいという論文もあります。これらのトライコームの成分はテルペノイドやフラボノイドが多いようです。


私が学生時代にアルバイトをしていた北海道の牧場の一角には大麻がたくさん生えていました。麻の葉の表面には、べたべたしたトライコームがありますが、この中には、カンナビノイド系の物質がたくさん入っています。テトラヒドロカンナビノイドはマリファナを吸った時に中枢神経に作用する成分ですね。大麻をまるごと使うよりも、このトライコームを集めたもの(樹脂)のほうがずっと中枢への効果が高いわけです。ただし多くの国では禁止されています。害虫または牛等の草食動物がこれをいやがるのかどうかは知りません。
ナス科のいくつかの植物では、トライコームの揮発成分が、害虫を補食する昆虫を誘引することも知られています。芋虫が植物の葉をかじると揮発性分が広がり、芋虫を補食する昆虫が寄ってくるのです。植物と、植物を食べる芋虫を補食する昆虫との協力関係ですね。

このように、トライコームは、物理的に植物の本体を守っていることもありますが、大変高度に分化した化学工場のような機能をもっているものも多いのです。

日本植物生理学会/大阪大学
柿本辰男
回答日:2011-01-26
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