一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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キンカンの果実について

質問者:   一般   EMU
登録番号2392   登録日:2011-02-05
いつもご指導ありがとうございます。
今頃、店頭に並ぶキンカンについて教えてください。
昨年、プラスチック製の袋(ところどころに空気抜きの穴あり)に入ったキンカンを買い求めました。たまたま、私が2袋買ったところ、夫も2袋買ってきたため、食べきれず、日に何度も開け閉めする流し台の下に置き去りのまま、日が過ぎてしまいました。
夏、そっと引き出してみると、幾分小さくなったものの、かびもせず、腐ることもなく健在でした。面白くなって、さらに放置。買ってから約1年が過ぎました。
さすがに小さくはなっていますが、かびることも腐敗もありません。

これまで食べたキンカン、日がたてば必ず腐りました。
この、腐らないキンカンからは、どんなことが推察できるでしょうか。
大量の防腐剤をかけてあるのでしょうか。
それとも、キンカンの種類にもよるのでしょうか。教えてください。。
EMU さん

当サイトのご利用有り難うございます。

このご質問は、科学的にお答えすることがたいへん難しいものだと感じますので私なりの推定によることをまずお断りいたします。幾つかあげられている可能性のうち、「大量の防腐剤」の可能性はたいへん低いと思われます。キンカンは生食用として市販されていますので「大量の防腐剤」が残留したままで市販されることは許されておりませんので。また、キンカンには4種ないし6種がありますが植物学的に区別されるもので、果実には大小、形状のわずかの違いはありますが食品の性状としては大きな違いはありませんので「種類による違い」も可能性は低いものです。そこでもっとも考えられるのが貯蔵環境です。柑橘果実の外果皮(ふつうオレンジ色の皮)には弱い抗菌性をもつリモネンをはじとするテルペン類が含まれていますので比較的病原菌の感染を受けることが少ないものです。但し例外は、柑橘に特有の青かびの感染がしばしば(2%から5%くらい)見られます。しかし、この青かび感染は低温、低湿度環境ではおこりにくいことが分かっています。ということで、今回、キンカンをおいておかれた場所が「たまたま」温度もいくらか低く、湿度もそれ程高くならなかったために、乾燥がまずはじまり、その結果ますます青かび感染が抑えられたのではないか、というのが私の推定ですがどんなものでしょうか。キンカンのような液果類は病害感染を受けなくても収穫後も熟する過程が進行しますので果肉は軟化して最後には「ぐじゃぐじゃ」になるものですが、キンカンのように小さな果実では、それよりも早く乾燥がすすみますので「乾燥果実」になりやすいとは思います。

JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2011-02-16
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