一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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葉面散布について

質問者:   会社員   農人
登録番号2398   登録日:2011-02-24
初めまして、いつもこのサイトで勉強させていただいております農人といいます。私自身、趣味で家庭菜園程度ですが野菜作りをしております。葉面散布について教えていただきたいことがあります。尿素や糖蜜などを葉面散布することにより葉からも吸収させることができ、養分や甘みを増す効果があるのではとのことでしたが、そこで思いついた事があり、もしATP葉面散布し葉から吸収させることができるとしたなら、そのエネルギーが利用され、植物の生育が早まったり、何らかの効果が表れるのでしょうか?糖蜜の葉面散布を行うと、果実転流される糖分がトータルに増加し実が甘くなる効果のように、ATPもトータル的に増え、植物の生育のスピードが速くなるような効果などは考えられるのでしょうか?
農人さま

ご質問ありがとうございます。
ATPはエネルギー通貨ともいわれ、エネルギーが必要な様々な反応に使われます。ATPはADPに変化しますが、そのときにエネルギーを取り出すことができるわけです。ADPはATPに速やかに再生されますが、その時には、光合成や呼吸により作ったエネルギーが用いられます。つまり、細胞の中ではATPとADPの循環があるのです。
さて、ご質問の答えですが、二つの理由から、肥料が十分に与えられている時には、あまり効果はないと思われます。まず、ATPは、構造から考えて、細胞膜を通過しにくいと考えられます。2つ目の理由は、仮にATPが細胞に取り込まれて使われたとしても、ADPからATPへの再生には同じようにエネルギーが必要だからです。また、細胞内のATPとADPを足した濃度は一般に一定ですので、通貨量としてのATPが増える事も考えにくいと思われます。
大阪大学・JSPP広報委員長
柿本 辰男
回答日:2011-03-04
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